悠木碧が再発見した『薬屋のひとりごと』の魅力 猫猫は「みんなに平等だからカッコいい」

悠木碧、『薬屋のひとりごと』の魅力を再発見

 TVアニメ『薬屋のひとりごと』第3期が10月2日より放送開始。後宮を舞台に、毒見役の少女・猫猫が様々な難事件を解決していくなか、第2期では壬氏の正体をめぐり衝撃的な展開が描かれた。

 第3期では猫猫がもともと暮らしていた花街へと舞台を移し、物語が始まる。舞台の変化があったからこそ見えた猫猫の変わらない魅力や壬氏との距離感を、猫猫役の悠木碧はどう捉えているのか。詳細な台本の読み方にも触れながら、本作の魅力を語った。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

“正直さ”が猫猫の魅力

——第3期の序盤では猫猫が花街に戻ってきており、趙迂とのやり取りが増えていてかわいらしいなと思いました。猫猫も意外と面倒見がいい人物だと感じましたが、悠木さんが演技をするなかで猫猫の新たな一面を発見することはありましたか?

悠木碧(以下、悠木):趙迂とのやり取りはすごくテンポもいいですし、血はつながっていないながらも本当の姉弟のように容赦なく、でも温かく接することができています。“容赦なく温かい”というのは、実は猫猫が誰に対しても平等に抱いている態度ではあって、その正直さが彼女の魅力でもあるし、趙迂のような子供に対してもよく表れているのだと思います。“ボス猫と子猫”ではないですけれど、「こうやって魚を取るんだよ」と、生きていくための術を教えてあげている。全然言うことを聞かない趙迂に振り回されるところもあるけど、猫猫もそうされてきたんだろうなというのが見えてきました。猫猫もやり手婆にげんこつを食らいながら生きてきたんだろうなと。猫猫がどんな愛され方をしてきたかが、彼女が子供にどう接するかで見える。そういうお芝居をさせていただきました。

——誰に対しても“容赦ない”というのは、たしかに猫猫の憎めない魅力ですね。

悠木:猫猫は、誰かに対して何かを変えることをしないからいい子なんですよね。みんなに平等だからカッコいいし、彼女のことを信用したくなる。本当はとんでもなく目上の人である壬氏にもほぼ態度が変わらないので、そこもまた彼女の魅力なのかなと。だから第3期になったから意識的に芝居を変えたようなところもなく、しっかり『薬屋のひとりごと』のベースのリズムを刻むぞという意気込みで演じています。

——壬氏との距離感は、壬氏からしたらおそらくものすごく変わったと思っているはずですが、猫猫のほうはやはり第3期でも相変わらずでしょうか?

悠木:そうです(笑)。猫猫は位置をまったく変えてなくて、そこに壬氏が少しずつ寄ってきています。寄ってきてはいるけど「なんで寄ってきてるんだろうな」という目でずっと見ている。でも、だからといって冷たく突っぱねたりはしないし、コミュニケーションとしては成立している。猫猫から壬氏に対する人間としての信頼度は上がっていて、最初は「なんだこの人、何考えてるかわかんないし、関わらないでおこう」だったのが「仕事はできるんじゃん」「意外と真面目なとこあるじゃん」と変わっていって、「すごく大変な生き方をしているんだな」と理解していった。立場ゆえの苦しみをこの人も抱えていて、寄り添ってあげることまではできないけど、それがあると認めて理解することはできるというところまで来ている。猫猫にとっては実は相当懐に入れていると思うんです。「この人は何が苦しいのかな。今、なんでこんな顔してるのかな」とずっと考えてはいて。だから、以前は“全然懐かない野良猫”でしたけど、今は餌を手から食べる、くらいにはなったというような感覚です。

——猫猫は、壬氏の気持ちだけは本当に気づいていないんでしょうか?

悠木:気づきたくないんだと思います。自分の母親(鳳仙)が父(羅漢)との恋が原因で指切りをしていて、猫猫自身もまきこまれている。妓楼の中で似たような境遇の女の子もきっとたくさん見てきた。「みんなそれを捨てられたら楽なのにな」と、たぶん人生の大前提として考えているんだと思います。だからそこには踏み込みません、と本人の中で線を引いているんだろうなと私は捉えていますが、そうなる気持ちもわかるし、だからこその彼女のウィークポイントでもあるのかなと。

——いろいろなもので気を引こうとする壬氏に、どんな印象を持っていますか?

悠木:実は私も恋愛というものは非常に苦手で(笑)、気持ちを向けられるのも、持つのも厄介だと思っているところがあり……。だから猫猫の気持ちは大変わかる(笑)。一生懸命アプローチをしている壬氏を傍から見ると「こんなに頑張ってくれているのに、猫猫、それはないよ」と思うんだけど、気持ちはとてもわかるんです。だから猫猫からすると「位置を変えない」ということが、精一杯の誠意なんだと思います。それに、本当にすごく大事に思ってくれていることはしっかり伝わっているのかなと。ただ、やっぱり悠木碧個人として考えると、壬氏の頑張りはあまりにも健気で……。だって一言命令を出せば自分のそばにおけるはずなのに、それをしないのは「この特別な感情は何かに利用しちゃいけないものなんだ」と思っているからですよね。そこに壬氏のかわいらしくて、誠実な部分がありますよね。

——これまで4クール観てきた視聴者としては、まさかここまで焦らされるとは……という感情もありまして。

悠木:すぐくっつかないところにこの作品の良さがあるんでしょうね。愛情の形は恋愛だけでなくてもよくないですか、とずっと提示している気がしています。ただ、第3期ではもう一つ距離感に変化があるので楽しみにしていただきたいですね。

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