『ポリティカルパン』は想像以上に“政治ドラマ”色の強い作品に 『銀河の一票』とのリンクも

一方、意外だったのが本作のテイスト。放送前は、架空の国を舞台にした怪盗ものというファンタジックな物語の中に政治風刺をちりばめたドラマになるのではないかと思っていたが、思った以上に政治ドラマとしてのカラーが全面に打ち出されていると感じた。
そのため、初見では戸惑ったものの、脚本が野木亜紀子で、プロデューサーが北野拓なら、こういう作品になるのは必然だと納得するものがあった。
野木と北野はこれまで『フェイクニュース』(NHK)と『連続ドラマW フェンス』(WOWOW/以下、『フェンス』)というドラマを手掛けており、どちらも社会派エンタメ作品の傑作だった。

対して今回の『ポリティカルパン』はフジテレビ系水曜22時枠という民放のプライムタイムでの放送ということもあり、これまでよりもエンタメに寄せた作りになると予想していた。そのため、政治風刺としての側面が強く出ていたことに驚いたのだが、正面から政治と向き合おうとする本作の姿勢を見ていると、春クールに放送された東京都知事選挙を描いた連続ドラマ『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)を思い出す。
同作は『エルピス—希望、あるいは災い—』(カンテレ・フジテレビ系)などの作品で知られる佐野亜裕美のプロデュース作品で、脚本は蛭田直美、監督は松本佳奈が担当していた。
蛭田直美は2025年に北野拓がプロデュースした、区議会議員選挙を題材にしたドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)の脚本に参加しており、松本佳奈は『フェンス』の監督を務めていた。
そのため『銀河の一票』を観たときは、北野がプロデュースした作品の座組と重なっていて、どちらも政治を題材に選んでいることが面白いと思ったのだが、『ポリティカルパン』を観ると、今度は逆に『銀河の一票』と対になっているように見えて、とても興味深い。
北野拓と佐野亜裕美の作品には重なる部分が多い。
どちらも、Netflixなどで配信されているアメリカや韓国のドラマと遜色のない社会派エンタメ作品を作ろうとしており、取材に膨大な時間をかけるジャーナリスティックなアプローチで作品に挑んでいる。

そして、どちらも民放のプライムタイムのドラマ枠で作品を発表しているのだが、性善説で政治を描こうとした『銀河の一票』に対し、『ポリティカルパン』は、政治風刺を全面に打ち出している。
何より大きな違いは、ニッポニアという日本とよく似た架空の国を舞台にしていることだ。
近年の野木亜紀子は、2025年に超能力を題材にしたSFドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)を手掛け、2027年春には、近未来が舞台で脳科学を題材にしたSFアニメ『LONA』の放送が控えている。
どちらもSFという虚構性の高い物語で、『アンナチュラル』(TBS系)や『MIU404』(TBS系)で高く評価されたような現代日本の社会問題を題材にしたクライムサスペンスとは異なるアプローチを近年は模索しているように感じていた。
そのため『ポリティカルパン』が架空の国を舞台にした怪盗ものになると知ったときも納得していたのだが、第1話を観た印象では、虚構性よりも政治風刺のほうに寄せていると感じた。
このまま政治風刺を全面に打ち出した作品となるのか、それともニッポニアに象徴される虚構性の高い物語ならではの大胆な仕掛けが用意されているのか、今後の展開が楽しみである。
■放送情報
『ポリティカルパン』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、高橋一生、河合優実、寛一郎、猫背椿、川西拓実(JO1)、きょん(コットン)、宮本エリアナ、矢野聖人、余貴美子、酒向芳、間宮啓行、岩松了、古館寛治、草刈正雄、渡部篤郎
脚本:野木亜紀子
主題歌:RADWIMPS「娑婆堕罵 -Shabadaba-」(Muzinto Records/EMI)
音楽:岩崎太整 プロデュース:北野拓
制作プロデューサー:白石裕菜 (ホリプロ)、加藤若葉 (ホリプロ)
演出:髙野舞、谷村政樹、及川拓郎
制作協力:ホリプロ
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/politicalupin/
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