中島健人、『SとX』で役者として新境地へ イメージを刷新する“カッコよくない”魅力
現在Netflixにて配信中のドラマシリーズ『SとX』。漫画家・多田基生の『SとX~セラピスト霜鳥壱人の告白~』(講談社)を原作とし、日本ではあまり馴染みのないセックスセラピーを題材に、人には言いづらい多様化する性の悩みを取り上げている。
最初に伝えておきたいのが、題材を聞いて思い浮かべてしまうようなセンセーショナルなだけの作品ではないということ。患者それぞれが抱える性と向き合う中で、主人公もまた自分を見つめ直すヒューマンラブストーリーであり、ときにくすっと笑えるようなコミカルなシーンもある優しく温かな作品となっている。
本作の主人公であるセックスセラピスト・霜鳥壱人を演じるのは中島健人。今もなおアイドルど真ん中にいる中島だが、本作においてはそんなアイドルオーラを感じさせないことが非常に印象的だ。
霜鳥(中島健人)が勤めるクリニックには、性の悩みを抱えた患者が日々やってくる。妻のセックス依存に悩む夫婦に、霜鳥は「旦那さんの勃起時の固さは?」とさらりと聞く。また、仕事に支障をきたしてしまうほどバーチャルセックスにのめり込む患者が来れば、「やってる時の反応が見たいから」と看護師・犀川優太(三浦獠太)にバーチャルセックスを体験させる。
真面目ゆえに少し抜けているところもありつつ、常に穏やかな空気で患者それぞれの悩みと誠実に向き合う霜鳥。だが、彼もまた過去に性のトラウマを抱えており、偶然再会した同級生・市之瀬佑美(新木優子)に恋心を滲ませるものの、その一歩が踏み出せない。
霜鳥が患者の前で常に落ち着き払っている姿と、自身のトラウマと対峙したときの不安定さが本作の見どころの一つでもあるのだが、それを中島は見事に演じ切っているのだ。
不安げな表情やどこか自信のない態度、ふとした瞬間には闇堕ちしそうな暗さのある、言葉を選ばず言うなら〝カッコよくない”中島健人を筆者は初めて見たような気がする。