向井康二、俳優として磨いてきた感情表現 『いろはの恋は時代をかける』で新境地へ?

 新火曜ドラマ『いろはの恋は時代をかける』(TBS系)で上白石萌音が主演を務め、Snow Manの向井康二が共演することが発表された。上白石にとっては『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)以来、約5年ぶりとなる火曜ドラマ主演。向井は火曜ドラマ初出演にして、自身初の教師役に挑む。発表直後からSNSでは、上白石の“火10”帰還を喜ぶ声や、初共演となる2人の掛け合いを楽しみにする声が上がっている。

 本作は、令和を生きる小学校教師・梨木彩葉(上白石萌音)の身体に、江戸時代中期を生きる女性・いろは(上白石萌音)の魂がタイムスリップしたことから始まるロマンティックコメディ。脚本を手がけるのは、NHK連続テレビ小説『らんまん』などの長田育恵というのだから胸が高鳴らないわけがない。

 『らんまん』では、植物学者・牧野富太郎をモデルにした主人公の歩みを軸にしながら、その周囲で生きる人々の選択や葛藤にも丁寧に光を当ててきた長田。時代の価値観や制度に翻弄されながらも、それぞれが自分なりの生き方を探していく。その姿を大きなテーマとして掲げるのではなく、家族や仕事、人との関係の中に自然に織り込んでいくのが長田の脚本らしさだ。

 そこで楽しみなのが、近年、映像作品で着実に俳優としての幅を広げている向井の存在だ。

 『リビングの松永さん』(カンテレ・フジテレビ系)で演じた健太郎は、飄々とした雰囲気をまとったバーテンダー。冗談を交えながら周囲とすぐに打ち解ける一方で、シェアハウスの住人たちの変化には誰よりもよく気づいている。松永(中島健人)や美己(髙橋ひかる)の関係にも必要以上に踏み込まず、ここぞという場面では背中を押す言葉をかける。向井の持つ親しみやすさが、物語の空気をやわらげる役割にもつながっていた。『フェイクマミー』(TBS系)では、敏腕副社長・黒木役として、仕事のできる人物らしい落ち着きの中に、相手との関係が変わっていくにつれて生まれる感情の揺れを滲ませた。さらに『ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』(TBS系)では、孤独を抱え、本心を簡単には見せない栗原を演じている。

 ここ数年だけでも役柄は大きく広がったが、向井の芝居で印象に残るのは、人物の明るさだけでなく、その奥にある寂しさや不器用さまで自然に見せていることだ。近年の出演作を重ねる中で、そうした繊細な表現が向井の芝居の強みとして、よりはっきり見えるようになってきた気がしている。

 近年は、自身のルーツでもあるタイに関わる作品への出演も相次いだ。タイドラマ史上初の日本人主演となった『Dating Game~口説いてもいいですか、ボス!?~』では、全編タイ語で厳格なCEO・ジュンジを演じ、ヒル(マーチ=チュターウット・パッタラガムポン)との距離が縮まるにつれて、硬かった表情や眼差しが少しずつやわらいでいく様子を丁寧に表現した。一方、日タイ共同制作映画『(LOVE SONG)』で演じた音楽家・カイも、自分の気持ちを簡単には言葉にしない人物だが、小さな変化を積み重ねながら人物の心の動きを表現する向井の芝居の繊細さが印象に残った。

 今回『いろはの恋は時代をかける』で演じる生琉は、一生懸命で人のために動こうとする一方、失敗を重ねたことで、いつしか“無難に生きること”を選ぶようになった人物だ。根の優しさや親しみやすさを持ちながら、その内側には自信のなさや不器用さも抱えている。しかも、生琉が恋をするのは、目の前にいる彩葉でありながら、その身体に宿る300年前のいろはでもある。同じ姿をした2人を演じ分ける上白石を、生琉はどのように見つめ、どんな違いを感じ取っていくのか。大きな出来事だけでなく、声の調子や表情、言葉遣いといった小さな変化を受け取ることが、2人の関係を描くうえで重要になってくるはずだ。

 長田は向井について、「ひたむきに演じてくださるからこそ、誰の弱さにも寄り添える優しさと、ありのままの自分を見つめられる強さを描き出すことが出来ました」とコメントしている(※)。これまでの出演作でも、親しみやすさの奥にある寂しさや迷い、不器用さまで丁寧に掬い取ってきた向井。生琉という人物を通して、向井の持つ親しみやすさと、近年の作品で磨いてきた繊細な感情表現がどう結びつくのか。『いろはの恋は時代をかける』では、俳優・向井康二のまた新しい表情を見ることができそうだ。

参照
https://realsound.jp/movie/2026/08/post-2496486.html

■放送情報
火曜ドラマ『いろはの恋は時代(とき)をかける』
TBS系にて、10月スタート 毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:上白石萌音、向井康二
脚本:長田育恵
演出:田中健太、福田亮介
プロデューサー:宮﨑真佐子、松本明子
協力プロデューサー:阿部愛沙美
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koitoki_tbs/
公式X(旧Twitter):@koitoki_tbs

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