『GTO』が提起した現実とフィクションの境界線 “鬼塚英吉”反町隆史という強烈な異物

 8月3日放送の『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)第3話では、高校生の恋愛を通して本当の優しさを問いかけた。

 柏原(生見愛瑠)が担当する授業でペアワークを実施することになった。事前の希望調査を経て組み合わせが決定されたが、琴音(梶原叶渚)が変更を願い出る。相手の歩夢(川口和空)にずっと見られているというのが、その理由だった。鬼塚(反町隆史)が歩夢に話を聞くと、どうやら歩夢は琴音のことが好きらしいとわかる。自信が持てない歩夢のために、グレートティーチャーによる告白大作戦が始動した。

 令和版『GTO』第3話は、賛否が分かれそうな放送内容だった。いち生徒の恋愛に教師が首を突っ込んで、一方的に味方になって応援する。平成を引きずっている鬼塚でも、いくらなんでもこれはやりすぎだと感じた。もしこれが現実だったらと考えると、観ているこっちまでヒヤヒヤする。忖度いっさいなしの姿勢は、作中のキャラクターが無邪気なぶん、余計に現実とのギャップが際立っていた。

 生徒の本分は学業である。告白された女子は、そのことを周囲に知られるだけでも相当なストレスだし、最悪の場合、ショックで学校に来られなくなることも考えられる。たとえフィクションでも、ストーカーを止めなかったり、仲の良い生徒を扇動して非常識な行為に及ぶことは認められない。鬼塚は教師の職責を果たしておらず、生徒への公平性に欠けていた。そんな筆者の思いは、教頭の中丸(近藤芳正)が代弁してくれた。

 その上で、ごく初期の段階で、自分にその気はないとはっきり表明したにもかかわらず、しつこく迫ってくる男子生徒に、問題にならないように努めて冷静に対処した琴音は称賛されるべきだ。初対面の人にも礼儀をもって接し、大人の立ち居振る舞いができている琴音は、歩夢が称えるとおりの尊敬できる人間だった。

 琴音との比較で言うと、歩夢は幼さがあって、周りが見えていないのは痛いし、冷静に諭す大人が周囲にいないのも厳しい状況である。歩夢の純粋さに由来する大きな目標と、相手の幸せを願う心が示されたことで、かろうじて救われた気持ちになった。とはいえ、率直にいえば、男子が成長するための壁打ちに女子生徒が利用された印象も抱いた。「コスパが悪い」恋愛を忌避する女子の心理を掘り下げれば、2026年らしいエピソードになったはずだ。

 ひいき目に見れば、生きた教育という意味で、生徒同士のコミュニケーション能力を養う目的は果たせたと言える。98年版の第2話で、鬼塚が菊池(窪塚洋介)に訴える雨のシーンの再来のような告白も味わいがあった。歩夢が引用したのはエドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』の一節で、第3話自体が同作を下敷きにしていると言える。

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