横浜流星が『国宝』『着飾る恋』スタッフと再タッグ ドラマ『LOST10』は見逃せない一作に
横浜流星が、10月期のTBS金曜ドラマ『LOST10』で主演を務める。北海道の小さな町で起きた登山ツアーの遭難事故を発端に、10人の運命が複雑に絡み合っていくヒューマンサスペンスだ。横浜が演じるのは、普段は大きな事件と縁のない町で働く刑事・小駒。GP帯の連続ドラマでは初の単独主演となるほか、脚本を映画『国宝』の奥寺佐渡子、演出を『最愛』(TBS系)の塚原あゆ子が手がけることでも注目を集めている。
横浜流星、『LOST10』で大河以来の民放連ドラ出演 映画『国宝』奥寺佐渡子と再タッグ
10月期のTBS金曜ドラマ枠で放送される『LOST10』の主演を横浜流星が務めることが発表された。 本作は、『Nのために』『…大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合)で1年にわたり蔦屋重三郎を務め、『国宝』では歌舞伎の世界に生きる大垣俊介を熱演。さらに『正体』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝くなど、横浜は今、作品を背負う俳優として揺るぎない位置に立っている。そんなタイミングで挑む『LOST10』は、横浜の次の代表作になりそうな予感がある。
脚本を手がける奥寺とは、映画『国宝』に続くタッグだ。奥寺は、喜久雄(吉沢亮)への親愛や嫉妬、芸への執着が入り交じる俊介の内面を丁寧に描き出してきた。古典芸能という世界の情熱と閉塞を、2人の関係を通じて人間ドラマとして大衆に提示し、同作は邦画実写史上初となる200億円超(208.3億円)の興行収入を記録した。
監督の塚原、プロデューサーの新井順子とは、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)以来5年ぶりに顔を合わせる。横浜が演じた藤野駿は、飾らない言葉や気取らない振る舞いで周囲を和ませる一方、過去の挫折を引きずり、将来へ踏み出せずにいる人物。そんな藤野を通して、横浜の親しみやすさと、その奥にある不器用さを印象づけた作品だった。3人の持ち味が、先の読めないサスペンスでどのように重なるのかは興味深い。
横浜の出演作を観ていると、役作りに費やした時間が、その人物の生きてきた時間へと変わっているように感じる。厳しい稽古や身体作りで身につけたものを、動きやたたずまい、日々の癖にまでなじませる。だからこそ、画面の中には「役を演じる横浜流星」ではなく、その世界で生きてきた一人の人間が見えてくるのだろう。
その持ち味がよく表れていたのが、『べらぼう』の蔦重である。これまで横浜は、端正な顔立ちや鋭い眼差しが映える、寡黙で影のある人物を数多く演じてきた。一方の蔦重は、相手の懐へ迷わず飛び込み、よく笑い、よく怒り、ひらめいた瞬間にはもう走り出しているような男だ。横浜はそんなエネルギーに満ちた主人公を通して、これまでとは異なる魅力を見せた。
横浜は表情をくるくると変え、大きな身ぶりも交えながら、蔦重の人懐っこさを生き生きと表現した。ただ明るく騒がしいだけではない。相手の中に面白さや才能を見つけた瞬間、ぱっと目を輝かせ、身分や立場を越えて懐へ飛び込んでいく。その魅力を世に送り出そうと夢中になる姿には、人を動かすだけの熱があった。戯作者や絵師たちが蔦重のもとへ集まってくる理由も、横浜の芝居を通して自然と伝わってきた。
『国宝』で演じた俊介は、蔦重とはまったく異なるかたちで、人と芸に翻弄されていく。歌舞伎の名門に生まれ、跡取りとして育てられながら、父が後継者に選んだのは自分ではなく、吉沢亮演じる喜久雄だった。兄弟のように思う喜久雄への親愛と、その才能を前に自分の価値が揺らいでいく苦しさ。長期間の稽古で身につけた歌舞伎の所作も見事だったが、横浜が見せたかったのは技術そのものではない。指先や首の動き、舞台上での立ち姿を通して、芸から離れてもなお歌舞伎を捨てられない俊介の人生を映し出していた。
こうした役への向き合い方は、これまでの出演作にも一貫している。『春に散る』では、ボクサーとしての身体やフォームを作り上げるだけでなく、リングに上がる者の闘争心や孤独まで全身に宿す演技を見せていたし、『正体』では、姿や名前を変えながら逃亡を続ける鏑木の緊張感を保ちつつ、出会う相手によって表情や話し方を細かく変え、一人の人物がいくつもの顔で生きる姿を表現。一方、『流浪の月』や『ヴィレッジ』では、言葉にできない怒りや痛みを表情の奥に押し込み、沈黙そのものに感情を語らせていた。横浜の芝居には常に強い意志が通っているが、それを毎回同じ熱量や表情で示すわけではない。身体を前面に出すのか、視線や呼吸に託すのか。役が生きてきた背景や置かれた状況に合わせて、何を加え、何を抑えるべきかを見極めているのだろう。
『LOST10』で小駒が向き合うのは、誰を信じればいいのかもわからない事件だ。まっすぐな情熱で人を動かした蔦重、自分の才能を信じられずに揺れた俊介を経て、横浜は“すべてを疑う”刑事をどう演じるのか。これまで役に費やしてきた時間を、その人物が生きてきた時間へと変えてきた横浜流星。その現在地を確かめるうえでも、『LOST10』は見逃せない作品となりそうだ。
■放送情報
金曜ドラマ『LOST10』
TBS系にて、10月スタート 毎週金曜22:00~22:54放送
出演:横浜流星
脚本:奥寺佐渡子
演出:塚原あゆ子
プロデュース:新井順子
編成:荒木沙耶
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/lost10/
公式X(旧Twitter):@lost10_tbs
公式Instagram:lost10_tbs
公式TikTok:@lost10_tbs