『ラストノート』“葵”内田有紀ד優子”坂井真紀の友情にヒビ? “澄晴”寺西拓人をめぐる愛憎

 そんな2人をよそに、澄晴への情念を募らせる優子。澄晴の身から出た錆とはいえ、免許証の住所を盗み見て、家まで押しかけ、一方的な思いを伝える彼女の行動はさすがに擁護できない。「好きな人がいるんです」とキッパリ断られても、諦めようとしない優子の澄晴に対する思いは恋ではなく、もはや執着だ。その後、奥田(徳井義実)との会話から、優子は葵と澄晴の関係が続いていることを悟ってしまう。ずっと父親の介護にかかりっきりで、自分の人生は後回しだった優子と、どちらもうまくいかなかったとはいえ、一度は好きな仕事に就いて結婚もしていた葵。きっと優子は何度も葵のことを羨ましく思うときがあったはずだ。その上、自分が好きになった澄晴の心を葵が奪っていることを知ったら、彼女はどうなってしまうのか。これまでは葵の人となりも苦労も知っているからこそ、優子は彼女を妬むことはなく、2人の友情は続いてきたのだろう。それなのに、ここにきて恋愛のゴタゴタで、もし友情にヒビが入ってしまったら、あまりに悲しい。

 優子だけではなく、今は葵のことを慕っている莉奈も澄晴とのことを知ったら、感情が憎しみに反転する可能性もある。澄晴に見放された眞澄(佐々木蔵之介)も油断できない存在だ。失うものがなくなりつつある彼がある意味、一番何をしでかすか分からなくて恐ろしい。

 ただ、葵と澄晴にとって障壁となるのは、何も周囲の人間だけではないだろう。澄晴の葵に対する愛情はどんどん増す一方だが、葵のほうはまだ責任感から彼に接しているように見える。「ちゃんと葵さんが見ててくれないと、俺また何するか分かんないから」と葵に伝えた澄晴。きっと本人は、さほどその言葉に特別な意味を持たせたわけではないだろう。しかし、例えは悪いかもしれないが、もし自分が目の前で命を絶とうとした人を救ったとして、その人に同じようなことを言われたら、恐ろしく感じる。澄晴に突然呼び出された葵が、血相を変えて飛び出したのがいい証拠だ。澄晴の言葉は無意識のうちに葵を縛ってしまっている。自分より20歳近く年下ということもあって、葵は澄晴を放っておけないのだろう。澄晴が本当にやりたいことを見つけ、葵なしでもまっすぐ立てるようにならない限りは、葵の気持ちも愛情には変わらないのではないか。

 腰も痛めやすくなり、脂っこい食事が受けつけにくくなるアラフィフの葵と、連日ハンバーガーだと胃もたれするかもという考えには至らず、湿布も買い慣れていない30代の澄晴の年齢によるズレも、のちのち障壁になりそうだ。だが、コンビニで嬉しそうにクチナシの花を買ってくる澄晴の純粋さが、葵に与えるものも大きいはず。再び、澄晴の前で花の香りを取り戻した葵。これは偶然か、それとも運命か。

■放送情報
木曜劇場『ラストノート』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00〜22:54放送
出演:内田有紀、寺西拓人、坂井真紀、桜井日奈子、草川拓弥、徳井義実、佐々木蔵之介ほか
脚本:的場友見
演出:相沢秀幸、中前勇児
プロデュース:三竿玲子
主題歌:椎名林檎「裸」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
制作・著作:フジテレビ
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