『映画ちいかわ』情け容赦ない展開を考察 “闇が深い”世界観は人を惹きつける?
イラストレーター・ナガノによるマンガ『ちいかわ』を原作とした初の劇場アニメ『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が、7月24日に公開。週末動員ランキング1位を獲得し、公開3日間で興行収入22.4億円に到達するなど(※)、大ヒットの兆しを見せている。
かわいい絵柄とは裏腹に“闇が深い”世界観を構築していることでお馴染みの『ちいかわ』だが、映画版ではその真骨頂と言えるような展開があり、SNS上で大きなざわめきを巻き起こしているようだ。
同作は“なんか小さくてかわいいやつ”ことちいかわをはじめとした個性的なキャラクターたちが活躍する物語。ファンシーな絵柄で、ほのぼのとした掛け合いが繰り広げられるため、幅広い年齢層から人気を博している。
しかしその一方、作中ではそこかしこにダークサイドをちらつかせるような展開が仕込まれている。そもそも作品世界の設定からして、“実は怖い”を地で行くようなものとなっており、ちいかわたちの日常はいつでも死と隣り合わせだ。
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) June 28, 2020
ちいかわ💫アニメ火金 公式Xより
ちいかわたちは報酬を稼ぐために「討伐」の任務に度々出かけるが、そこで待ち受けるのは恐ろしい生き物ばかり。また魔女や不思議な怪物があの手この手で襲い掛かってくるというエピソードにも事欠かない。
そのほか、シルエットで描かれるモブキャラが犠牲になる描写も印象的だ。ちいかわたちはたまたま生き延びられているものの、弱肉強食の残酷な世界が広がっていることが分かるだろう。
さらに作中の登場人物たちは自由気ままに生きているように見えるが、実は“欲望”にまつわるホラー展開が数多く描かれてきた。
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) August 12, 2020
ちいかわ💫アニメ火金 公式Xより
たとえば初期から登場しているモモンガは、巨大な身体をした化け物のような“でかつよ”と身体が入れ替わっているという説が濃厚。2人のあいだに何があったのかはまだ明かされていないが、かわいい見た目を手に入れたいというモモンガの欲望によって、でかつよが自分の身体を失って苦悩していることは確かだ。
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) September 5, 2020
ちいかわ 公式Xより
しかもモモンガのように欲望を叶えて幸せでいられることは稀で、大抵は欲望に飲み込まれて恐ろしい悲劇に発展してしまう。好きなものを生み出せる魔法の杖を手に入れたことで、ハチワレやうさぎの身に異変が起きてしまうエピソードは、文字通り悪夢のようだった。
そして『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』のもとになった「セイレーン編」は、そんな同作のホラー要素を未曽有のスケールで展開した長編だった。そこでは弱肉強食的な世界観と、欲望をトリガーにした悲劇の両方が迫力たっぷりに描かれている。