『エクストリーム・ジョブ』の高い壁を超えて 『チーム・ハズバンド』が選択した脱力的王道
国内外で人気を誇るようになった、韓国映画の「アクションコメディ」というジャンル。『チーム・ハズバンド』は、そんなジャンルの典型的な一作として、Netflixから配信リリースが開始された映画である。
本作の最大の目玉となっているのは、観客にとって記憶に新しい、あのコメディ映画の『エクストリーム・ジョブ』(2019年)で共演していた、チン・ソンギュとコンミョンの再共演だろう。しかし二人の役柄は、なんと一人の女性をめぐる“元夫”と“いまの夫”。そして娘にとっての“実父”と“継父”という、かなり気まずいライバル関係である。
前作『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』(2022年)で、ワンシチュエーションの笑いという題材を手がけたパク・ギュテ監督が、今回も脚本を共同で担当し、全編にギャグを散りばめながら、ノンストップのアクションエンターテインメントに仕上げている。ここでは、そんな本作が持つライトな娯楽作としての特徴を振り返りながら、その構造を読み解いていきたい。
学校行事の場で最悪の対面を果たした、麻薬捜査官のチュンシク(チン・ソンギュ)と、若い獣医のミンソク(コンミョン)。妻シネ(カン・ハンナ)の新旧の夫であり、娘ヨンジュ(オ・ウンソ)の父親と継父である二人は、たちまち衝突することになる。しかし、そのシネと娘が、麻薬を扱う犯罪者ドジュン(キム・ジソク)とその妻ヘラン(イ・ダヒ)ら裏社会の思惑に巻き込まれ、誘拐されてしまう。本来なら顔を合わせることすら拒みたいはずの二人が、大切な人間を救い出すという共通の目的のために、不本意ながらもバディを組んで事件を解決しようと奔走していくところが見どころとなっている。
チュンシクを演じたチン・ソンギュは、『犯罪都市』(2017年)の狂気的な役から『エクストリーム・ジョブ』のコミカルな刑事役までを演じ分けてきた異色の俳優。本作でも、特有の泥臭さと哀愁を体現し、得意の“顔芸”も見事に決めている。対する現夫ミンソク役のコンミョンは、大柄ながら無邪気な愛嬌と、現代的なスマートさを併せ持つ。獣医という役柄に知的な説得力を与えつつ、年上の懐へも潜り込んでいく要領の良さも感じさせる。そんな二人のアンサンブルもまた、本作の楽しみを倍加させているといえるだろう。
肩の力を抜いて、楽しく観られる一作だ。異なる個性を持ち、私生活の立場的にも反目し合う二人が、最初は犬猿の仲でありながらも、トラブルを乗り越えるたびに次第に息を合わせていく。この、バディムービーの王道ともいえる、展開を予想することのできるドラマは、そのまま観客の期待を裏切らずに進んでいく。
ただ、十分にソツのない出来栄えであるとはいえ、チン・ソンギュとコンミョンの組み合わせである以上、やはりどうしても『エクストリーム・ジョブ』が頭をよぎる。同作が、「囮捜査のために始めたチキン屋が大繁盛して、気づけば本業のようになってしまう」という、プロット全体を利用し、構造的ギャグとして機能していた話運びと比べると、やや弱いと感じてしまうことだろう。しかし、本作の構造をより深く見てみると、そこには『エクストリーム・ジョブ』と同様に、プロットそのものが壮大なギャグとして機能していることに気づくはずである。