加藤千尋、念願のホラー映画出演で大興奮 “1人では生きていかない”独自の表現者哲学に迫る
BiSHの元メンバーで、セントチヒロ・チッチとしてアーティスト活動もおこなっている加藤千尋が、『ミスミソウ』の内藤瑛亮監督が新たに手がけたホラー映画『氷血』でホラー映画初出演を果たした。生粋のホラー好きである彼女にとって、今作への出演はまさに「念願の夢」だったという。BiSHの解散から3年、ミュージカルや映像作品など表現のフィールドを急速に広げている彼女に、撮影現場で主演の北山宏光から受けた刺激や、「1人では生きていかない」という独自の表現者哲学を語ってもらった。
ホラーが大好きだからこそ高くなったハードル
ーーホラー映画初出演にしてヒロインの悠希役を好演されていましたが、完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
加藤千尋(以下、加藤):まさに「これぞ内藤監督のホラーだ!」という感じで、人間の心をじわじわと蝕んでいくような気持ち悪さや、昔ながらの良きジャパニーズホラーのどんよりとした雰囲気が、これでもかと活かされている作品だなと思いました。
ーー雪深いロケーションでの撮影は、観ているだけでも伝わるほど過酷そうでした。実際の現場はいかがでしたか?
加藤:正直、身体が寒さに耐えるのは反射的に苦しかったです。「心は元気なんだけど、身体が冷たすぎて震える」みたいな(笑)。でも子供の頃、台風が来ると「学校が休みになる! 事件だ!」ってワクワクした感覚ってあったじゃないですか。今回は初めて、撮影中に「豪雪注意報」が出たんです。その瞬間、自分の中で「うわ、事件だ!」ってスイッチが入って、ものすごく楽しくなってしまって(笑)。雪の中に思い切り倒れ込むシーンとかは確かに大変でしたけど、カットがかかるとスタッフの皆さんがすぐに温めてくださったので、想像していた何倍も楽しんで撮影を乗り切ることができました。
ーー劇中では、血だらけになる壮絶な姿や、激しく蹴られるようなハードなアクションシーンもありましたね。
加藤:大変でした! 私は台本を読んだときから「やられる覚悟はできています。いつでも殴ってください!」っていうスタンスだったんですけど(笑)。実際に映像の中で「本当に殴られている、蹴られている」ように見せる技術って、ものすごく緻密で大変なんだなと痛感しました。肉体的な痛さというよりも、演じていて心のほうがガリガリ削られるシーンだったので、そこはかなり踏ん張りが必要でしたね。
ーー今回演じられた悠希は、非常に孤独な背景を持ち、家族に対して強い執着を抱いている女性です。彼女の内面にはどのようにアプローチしましたか?
加藤:悠希が置かれた境遇は、私自身の中にはないものばかりでした。特に、幼い子供を持つ母親としての「温かさ」や、逆にふと見せる「寂しさ」ってどういうものなんだろう、と。そこは、私の身近にいる母親になった友達たちの日常を観察して、すごく研究しました。あとは私、本当にちっちゃい頃からホラー映画を観て育ってきたんです。昔、テレビでビデオ版の『呪怨』を観てからドハマりして、スプラッター映画も気持ち悪いお話も何でも観るくらいホラーが大好きで。ホラーってただ怖いだけじゃなく、その恐怖の先にしっかりとした人間ドラマや光、温かさが待っているから愛おしいんですよね。だから今回、内藤監督の現場に参加できることが決まったときは、念願が叶って本当に嬉しかったです。監督にお会いした瞬間に、「仲間だ!」って思いました。
ーー数々のホラー映画をよく観ていたからこそ演じやすかった部分もあったのでしょうか?
加藤:いや……大好きだからこそ、自分の中でのハードルを高く設定しすぎてしまって、「今の私の怖がり方、ちゃんとホラーとして成立してたかな?」と毎テイク不安になったりしていました。でも、「ホラー映画における、何でもない日常の違和感や不気味さ」の重要性はファンとして分かっていたので、劇中で私が思い切り不気味に笑うシーンとかは、監督が求めている空気感や「共通言語」を自分の中にしっかり落とし込んでトライできた感覚があります。