『風、薫る』キャラはなぜアニメっぽい? 吉澤智子が描く直美やシマケンら個性派キャラ
NHK連続テレビ小説『風、薫る』は、明治という激動の時代に、時にぶつかりながらも支え合い、看護の道を切り拓いていく一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)の友情物語。日本の看護師の先駆者である大関和と鈴木雅の人生が土台になっているが、2人に関する資料は少なく、“モデル”ではなく、あくまでも“モチーフ”という位置づけになっている。2人を取り巻く登場人物も大山捨松(多部未華子)や勝海舟(片岡鶴太郎)などを除けば、モデルのいないオリジナルキャラクターが多く、比較的自由度の高い朝ドラと言えるだろう。
脚本を手がける吉澤智子は、『あなたのことはそれほど』(2017年)、『初めて恋をした日に読む話』(2019年)、『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(2024年)など、TBS火曜ドラマを数多く手がけてきた作家だ。TBS火曜ドラマといえば、主に仕事や子育てに奮闘する女性が主人公で、エネルギッシュかつポップな作りが特徴。NHK作品のイメージがあまりない吉澤が起用されたのは、同枠の作品に親しんでいる若年層を取り込みたいという狙いもあったのではないだろうか。実際、本作はりんと直美が看護婦として奮闘するお仕事ドラマ的なストーリーを軸にしつつも、ラブコメ要素が満載で、これまで朝ドラに馴染みのなかった若者も楽しめるドラマになっているように思う。また、今回注目したいのはアニメ的なキャラクターの描き方だ。このドラマに登場する人物は見た目こそ派手ではないものの、一人ひとりの性格や特徴がデフォルメされており、「〇〇キャラ」という言葉に当てはめたくなるキャラクターが多く存在する。
例えば、主人公の一人である直美はアニメのヒロインにありがちな「勝気な女キャラ」だ。生後間もなく母親に捨てられた孤児ゆえに理不尽な目にも散々遭ってきたが、決して屈さず、怒りが頂点に達すると英語で怒号を飛ばす。馴れ合いや表面的な優しさを好まず、患者や後輩に対しても厳しいが、時折ふと思いやりを見せることも。仕事で悩むりんを心配してさりげなくフォローしたり、患者の友人・小川(甲斐翔真)からのアプローチを冷たくかわしたかと思えば、「じゃあ、友達になりましょう」と譲歩したり、彼女は「ツンデレキャラ」でもあるのだ。
特筆すべきは、このドラマにおいて「ツンデレキャラ」は直美の専売特許ではないということ。最初は乳がんで胸を失うことの悲しみや手術への恐怖から周りに辛く当たっていたが、りんがその気持ちにひたすら寄り添ったことで態度を軟化させた患者の千佳子(仲間由紀恵)、看護婦を見下していると思いきや、言葉の節々に同じ医療従事者としてのリスペクトが感じられる外科教授の今井(古川雄大)や黒川(平埜生成)など、本当は優しいのに、それを素直に表せないぶきっちょさんが多い。