深澤辰哉&小島健、『おそ松さん』一松役で際立つ個性 “表情”と“オーラ”に宿る俳優力
6つ子たちのドタバタコメディを原作愛たっぷりに表現し、好評を博している実写映画『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』。今作はAぇ! groupを中心としたキャストによって撮影されており、2022年に公開された“Snow Man版”とは毛色が大きく異なった作品となっている。
そこで今回試みたいのが、一松役を演じたキャストの比較。1作目のSnow Manの深澤辰哉と2作目のAぇ! groupの小島健ではどんな違いがあったのか、それぞれの役者としての資質にも踏み込んで語っていきたい。
『おそ松さん』の主人公はおそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松という松野家の6つ子。いずれも20歳を超えているが、定職につかず自堕落な生活を送る“クズ”として描かれている。
一松はそんな兄弟たちの四男にあたるキャラクター。いつも無気力でぼそぼそとしゃべり、他人にもあまり近づこうとしないが、猫にだけは心を開いている……という設定だ。
実写映画での扱いを振り返ると、1作目では卑屈なイメージを前面に押し出したキャラクターとなっていた。物語の途中からはスーツを着て就活に挑戦するも、あえなく失敗。やぶれかぶれになっているところを謎の黒服に誘われ、一発逆転のためデスゲームに参加するという流れだった。
そこで深澤は一松が全身から放つ陰鬱なオーラや、目つきの悪さを完全に再現しており、コミカルな演技も上手くこなしていた。とくに印象的だったのは表情や声色の繊細な管理だ。
深澤はこれまで出演した作品でも、そうした長所を見せつけていた。たとえば印象的だったのは、2024年に放送されたドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)だ。
同作で深澤が演じたのは、主人公・神崎美羽(松本若菜)と禁断の関係になる冬月稜。人の痛みに寄り添うことができる心やさしい美青年で、モラハラめいた夫との関係に苦しんでいた美羽を癒し、一線を超えさせてしまう魔力をもつ。深澤は劇中で包容力のある表情と温かみのある声色を徹底しており、視聴者まで虜にしていた。
その一方、2025年放送の『誘拐の日』(テレビ朝日系)ではスーツ姿に眼鏡をかけたクールな弁護士・山崎忠役を担当。まったくイメージが異なる役柄だが、自然体で作品世界に溶け込んでいた。
それに対して小島が演じた2作目の一松は、同じ内気系でも芯が強いキャラクターとして描かれていた。元々原作では内弁慶的なところがあり、「カラ松にだけ異様に当たりが強い」という設定もあったが、それを強調するような描写が随所に見られた。
小島はルックスや立ち振る舞いだけでも強烈なオーラがあるタイプなので、このキャスティングは絶妙だったように思われる。
普段は大阪出身らしいコミカルな振る舞いが目立つ小島だが、ドラマなどではオーラを活かした役柄に抜擢されがちな印象。たとえば2023年に出演した深夜ドラマ『帰ってきたらいっぱいして。』(読売テレビ)では、恋愛経験のないアラサー漫画家を翻弄するイケメンサラリーマン・高城直哉役として出演。一流企業勤務でモテモテの遊び人という設定で、押しの強い肉食系男子になりきっていた。
表情や声色で人を引き付ける深澤版の一松と、あふれ出るオーラで魅了する小島版の一松。役者としての資質の違いが浮き彫りになっているので、ぜひ機会があれば2つの実写『おそ松さん』を見比べてみてほしい。
■公開情報
映画『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』
全国公開中
出演:Aぇ! group(末澤誠也、正門良規、佐野晶哉、小島健)、草間リチャード敬太、西村拓哉、渡邉美穂、大貫勇輔、なえなの、野口衣織(=LOVE)、三宅弘城、木村多江、宮内ひとみ、千葉雄大、船越英一郎
原作:赤塚不二夫『おそ松くん』
監督:川村泰祐
脚本:宅間孝行
音楽:橋本由香利
主題歌:Aぇ! group「でこぼこライフ」(UNIVERSAL MUSIC)
制作:はちのじ、パイプライン
配給:東宝
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