伊藤健太郎が恋愛ドラマで重宝される理由 『一緒にごはんをたべるだけ』で問われる共感力
伊藤には、役が苦悩している瞬間に、ふっと「本来の優しさ」が滲むような表情を見せる時がある。とくに、目を大きく見開いたあと、力が抜けるように柔らかな表情が浮かぶ瞬間だ。そこに、伊藤の「素の顔」が浮かんでいる気がしていて、私はその一瞬に触れるのがたまらなく好きだ。どんな立場の役柄であっても、その表情を見た途端、なぜか不思議と共感してしまうのは、役をただ演じているのではなく、彼自身の魅力をそっと滲ませているからだろう。
そして7月、新たに始まる『一緒にごはんをたべるだけ』で彼が演じるのは、料理講師のタキに雑誌連載を依頼する編集者・レイ。2人はあくまでビジネスパートナーという関係だ。ところが、連載企画の一環でタキの自宅を訪れ、餃子作りを一緒に始め、包み方を教えるうちに、ふと手が重なり合っていく……。
不倫を扱う作品である以上、視聴者の共感を得るのは決して容易ではない。さらに今回は、「食の価値観の違いによるすれ違い」も大きなテーマとして描かれる。価値観が色濃く反映される物語は、SNSでも議論を呼びやすい。それだけに、キャラクターの感情を「わざとらしさ」を感じさせず、自然に伝えられるかどうかが重要になってくる。
そう考えると、肩の力が抜けた自然な芝居を持ち味とする伊藤は、この役にぴったりなのかもしれない。落ち着いた声色や、静かな表情の奥に繊細な感情をにじませる演技は、レイという「真面目に仕事へ向き合いながらも、心に埋められない隙間を抱えている」人物の複雑な内面を、説得力をもって表現してくれそうだ。
タキは、夫(桐山漣)の素っ気ない態度に、孤独を抱えている。一方、手料理を作らない妻に虚しさを覚えるレイ。予告では、タキが「ここが夫婦だったら、上手くいくのに。レイちゃん、タキちゃんと呼び合って」と、思わず本音をこぼす場面がある。その言葉に、レイは大きく驚くわけでもなく、むしろ彼女の気持ちを確かめるように「タキちゃん」と呼び返す。その柔らかな声色から、すでに彼の心がタキへ傾き始めていることが仄かに伝わってくる。
ところが予告のラストでは、手と手が触れ合う瞬間に重なる「これ以上は、地獄行き」という不穏なテロップが流れる。どうやら、ドラマは一筋縄ではいかない様子だ。レイの「理性」と「本能」の狭間に生まれる「微細な心の揺れ」を、伊藤は今作においてどんな形で見せてくれるのか。
■放送情報
『一緒にごはんをたべるだけ』
テレビ東京ほかにて、7月2日(木)スタート 毎週木曜24:00~24:30放送
BSテレ東にて、7月7日(火)スタート 毎週火曜24:00~24:30放送
U-NEXTにて、各話放送終了後から第1話〜最新話まで見放題独占配信
出演:早見あかり、伊藤健太郎、桐山漣、岸明日香、岩永洋昭、浅野千鶴、久場音葉、真矢ミキ
原作:大町テラス『一緒にごはんをたべるだけ』(講談社/「コミックDAYS」所載)
脚本:青塚美穂、首藤凜
監督:吉野主、小川弾、井上雄介
音楽:小山絵里奈
オープニングテーマ: Offo tokyo「Darlin'」(Imperial Records)
エンディングテーマ: This is LAST「Paradox」(SDR)
プロデューサー:漆間宏一(テレビ東京)、平部隆明(オフィスクレッシェンド)、利光佐和子(オフィスクレッシェンド)
制作:テレビ東京、オフィスクレッシェンド
製作著作:「一緒にごはんをたべるだけ」製作委員会
©︎「一緒にごはんをたべるだけ」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/isshonitaberudake/
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