『GIFT』完結になぜ賛否? パラスポーツという“挑戦”と日曜劇場らしさへの“誤算”
TBS日曜劇場『GIFT』が6月14日に最終回を迎えた。本作は、金沢知樹の脚本による完全オリジナルストーリー。「偏屈な天才宇宙物理学者・伍鉄文人(堤真一)が『車いすラグビー』の弱小チームのコーチとなり、問題児だらけの選手たちとぶつかり合いながら再生を目指すヒューマンドラマ」だった――。しかし、その内容をめぐっては、視聴者の間で受け止め方が大きく分かれた。
本作の視聴率は初回から世帯9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)と2桁割れでスタートし、最終回も世帯7.6%と低迷することに。
この苦戦の背景には、同枠が得意とする池井戸潤作品に準じた「既視感」が裏目に出たという見方がある。崖っぷちのチームが這い上がる物語は『ノーサイド・ゲーム』や『下剋上球児』でも描かれた定番設定であり、放送前から新鮮味を欠いて受け止められた側面は否めない。また、ネット上では1月期に大ヒットした『リブート』、7月期に予定されている『VIVANT』続編という大型作品の“繋ぎ”に見えてしまったという感想も散見されたが、エンタメ性を期待するファン層に向けて十分な訴求力を示せなかったことも数字が伸び悩んだ要因の一つだっただろう。
では、スポ根ドラマを期待したファン層に刺さったのかといえば、それもまた違った。第1話から、伍鉄の過去や孤独、変人ぶりがクローズアップされたが、“宇宙物理学者の名采配でチームが強くなる”という物語の核はやや飲み込みづらい。有村架純演じる編集者との絡みや山口智子と玉森裕太が演じる親子のサイドストーリーは、多くの視聴者から「要素の詰め込みすぎ」「本筋のノイズ」と指摘されたポイントだ。加えて、桐山人香(有村架純)と宮下涼(山田裕貴)の恋愛関係が匂わされつつも、中途半端に終わったことも女性層からの不満を噴出させた。
そんな本作で最大の波紋を広げたのが、最終回を目前に控えた第9話である。チームの絶対的エース・涼が心臓の病で急逝するという残酷展開には「涙が止まらない」「つらすぎる」と悲痛な声が殺到。
その一方で、ハッピーエンドを期待した層からは、準主役の唐突な死に対して強い拒絶反応が巻き起こる。最終回、遺されたメンバーが涼の想いを胸に宿敵との決戦に挑んだものの、結果は敗北。この苦い幕引きも視聴者のフラストレーションをさらに増幅させることとなった。
ともあれ、否定的な意見があったものの、地上波プライム帯では未開拓とも言える「パラスポーツ」に真正面から挑んだ点は高く評価されるべきだろう。本作で「車いすラグビー」という競技を知ったという人も多かったのではないだろうか。
往年の名作『スクール☆ウォーズ』(TBS系)を彷彿とさせながら、スポ根の枠には収まらず、選手たちの葛藤や生々しい現実まで深く描写。そこからは、制作陣のヒューマンドラマに対する確固たるこだわりが伝わってきた。そして何より、堤、有村、山田ら実力派キャストの演技や、「日本車いすラグビー連盟」の監修による迫真の試合描写が、作品のリアリティを最後まで支えていた。
“安心・安定”を求めた従来の日曜劇場ファンにとっては不完全燃焼だったかもしれないが、安易なハッピーエンドに逃げなかったことは、この先のドラマにおけるストーリー展開の多様化を示したと言える。賛否が飛び交った本作だが、まずはこの難しいテーマに向き合い続けた制作陣とキャストに拍手を送りたい。
■配信情報
日曜劇場『GIFT』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
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