『タツキ先生』は子どもを取り巻く問題にどう向き合ってきた? “異様にリアル”な当事者性
日本の子どもを取り巻く問題は、核家族化や共働きの増加、デジタルデバイスの普及、経済格差などを背景に、複雑かつ多様化している。2025年には、小中高生の自殺者数が暫定値で532人となり、統計開始以来過去最多を更新した(※1)。
そんな中で、子どもと関わる人全員に観てほしいと感じたのが、6月13日に最終回を迎える町田啓太主演のドラマ『タツキ先生は甘すぎる!』(日本テレビ系)だ。様々な理由で学校に行けない子どもたちの居場所・フリースクール「ユカナイ」を舞台にしたこの作品には、悩める子どもたちと向き合う上で踏まえておくべきことが描かれている。
フリースクールと一口にいっても、施設によって形態や方針は多種多様だが、「ユカナイ」の最大の特徴は厳しいルールや規則が存在しないこと。教室長の浮田タツキ(町田啓太)は子どもたちに激甘で、「楽しいことだけ、やろう!」をモットーにしている。不登校支援と聞くと、「子どもを学校に通えるようにすること」がゴールと思われるかもしれないが、「ユカナイ」は必ずしもそこに立脚していない。では、タツキたちスタッフは何を支援の目的としているのか。それは、傷つき、疲れた子どもたちに“生きる力”を取り戻させることだ。
本作は、2024年10月期に放送され、スペシャルドラマ化もされた松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)の制作チームが手がけている。小学校の保健室に常勤する学校医がナルコレプシー、場面緘黙症、ストレスによる破壊衝動など、心身の悩みを抱える児童とその家族に向き合う姿を描いた同作は、各方面への敬意と配慮に満ちており、当事者や教育・医療に従事する人たちからも称賛の声が上がっていた。
本作も、“子どもたちが羽を休める場”としてのフリースクールを提示しつつ、実際の現場で起きている事象、培われた知見がストーリーに組み込まれており、そのリアルかつ繊細な作りには監修を務める“不登校ジャーナリスト”の石井しこうも、自身のX(旧Twitter)で「ここまでフリースクールをリアルに描いたドラマは、今までなかった」(※2)「何がすごいって、撮影セットの“フリースクール感”が異様にリアルなこと」(※3)「フィクションではありますが、現場を知る立場から見ても、『同じことが起きていてもまったく不思議ではない』と感じます」(※4)と感心を示している)。
威圧感を徹底的に排除し、タイトル通りの“甘すぎる”雰囲気を携えた町田はもちろん、純真さとひたむきさが光る松本穂香、ベテランの風格と余裕が感じられる江口洋介、ママタレ界のご意見番として活躍する藤本美貴、少年ぽさは残したままがっしりとした体格に成長した寺田心、いい意味で常に肩の力が抜けている三遊亭好楽と、大人キャスト組もなんだかホッとする面々だ。