『月夜行路』ルナが父との再会で得た答え 波瑠「誰の人生にも等しく価値がある」が刺さる

 パソコンの中に残されていたのは、ルナが書いた小説への英介の感想だった。英介は、娘の作品を読み、一つひとつ細かく言葉を残していた。あまりにも不器用で、遠回りな関わり方だ。けれど、面と向かって褒めることができなかった英介にとって、それはルナの文学を受け止め続けていた証でもあった。

 パスコードの先に英介の本心を見つけたルナは、父と直接向き合うことになる。久しぶりに言葉を交わす2人の会話は、どこかぎこちない。英介はつい余計なことを言い、ルナも強い口調で返してしまう。それでもルナは、パソコンを開けたことを英介に伝える。それでも彼女は、パソコンを開けたことを報告し、「あなたに褒めてもらえる前にいなくなられたら困るんです」と告げる。そこにあったのは、反発ではなく、父に見ていてほしかったという思いだった。涙を浮かべながら「この世界にいてもいいですか?」と尋ねるルナに、英介は「当たり前だ」と答え、そっと頭を撫でる。英介の「おかえり」という一言は、ルナがずっと聞きたかった言葉だったはずだ。

 英介の退院後、ルナはすぐに父に会いに行くのではなく、新著『月夜行路』の中に、父へのメッセージとしてヒントを隠す。直接言葉にするのではなく、本に仕掛けを忍ばせるところが、いかにもルナらしい。これまでの重原壮助というペンネームではなく、野宮ルナとして歩き出すことも、彼女にとって大きな一歩だった。スピーチで語った「誰の人生にも等しく価値がある」という言葉は、彼女自身が遠回りの末にたどり着いた答えだった。文学で人は救えないと否定されたルナが、文学を通して涼子を救い、父ともう一度つながる。最終回は、その長い旅の答えを丁寧に見せてくれた。

 ひょんなことから始まったルナと涼子の旅は、涼子の初恋探しから、事件の謎解き、そしてルナ自身の家族との再会へ。振り返れば、短いようで長く、長いようであっという間だった時間のように思える。これで最終回となってしまうが、もう少し2人の旅を見ていたい。そう思わせてくれる締めくくりだった。

■配信情報
水曜ドラマ『月夜行路 ―答えは名作の中に―』
TVer、Huluにて配信中
出演:波瑠、麻生久美子、作間龍斗、久本雅美、栁俊太郎、渋川清彦ほか
原作:秋吉理香子『月夜行路』(講談社文庫)、『月夜行路 Returns』(講談社)
脚本:清水友佳子
音楽:Face2fAKE
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:水嶋陽、小田玲奈、松山雅則
トランスジェンダー表現監修:西原さつき、若林佑真、白川大介
演出:丸谷俊平、明石広人
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/getsuyakouro/
公式X(旧Twitter):https://x.com/getsuyakouro

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