『リボーン』思わぬ結末を迎えた最終回 高橋一生による一人二役を超えた複雑な芝居に拍手
ドラマ『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)最終回で物語は思わぬところへと着地し大きな反響を巻き起こしている。
最終回の注目ポイントは大きく3つ。「根尾光誠を突き落とした犯人は誰なのか」「根尾光誠は野本英人に転生した光誠をなぜ苦しめるのか」「命を代償に歴史を変え成功を得た光誠はどうなってしまうのか」である。
犯人については、根尾光誠に恨みを持った友野(鈴鹿央士)の犯行という見方で物語は進んできていた。しかし、光誠は根尾光誠と初めて対峙し話しているうちにあることに気づく。それは光誠が見た人影は幻想であり、光誠は階段へと自ら身を投げたということだ。
根尾光誠が野本英人に転生したように、野本英人も根尾光誠へと転生し、根尾光誠を演じ生きていた。根尾光誠として生きる英人にはあかり商店街での居場所はもうない。野本英人として生きる光誠に嫉妬心を抱き、英人もまた自分が何者なのか分からなくなっていた。「この世界は娯楽だ。できる限りそのゲームを楽しもう」という答えに行き着き笑う英人に対して、光誠は泣きそうな顔で笑い頷く。似ているのか、似てきたのか。根尾光誠として生きてきた2人にとって共通して分かり合えるのは、孤独。正義だと信じることが、誰からも理解されなかった。上に行けば行くほど未来が見えなくなった――未来に絶望した根尾光誠は自ら階段から転落した、というのが光誠自身が辿り着いた新たな答えだった。
その証拠に目の前にいる英人は自ら階段から身を投げようとしていた。英人を受け止めたのは英治(小日向文世)。「ずっとつらかったな。大丈夫か? おまえたちなら大丈夫だよな?」と2人を励ます英治の言葉に、息子として、英人として泣きながら確かに頷いた。
金平(柳沢慎吾)の悲劇を乗り越えたように、根尾光誠が階段から身を投げる未来を突破し、光誠は行く先の知らない本当の未来へと辿り着いた。“代償は命”というのは所詮フィクションと光誠は忘れ去ろうとしたが、物語の最後に光誠は亡くなり、あかり商店街を守った功績から“ヒーロー”として讃えられることとなる。駆け足で曖昧なラストは、その余白を視聴者に委ねているところが多分にあるが、光誠が亡くなった未来で更紗(中村アン)が抱いている赤ん坊は「英雄(ひでお)」という漢字から分かるように光誠(英人)との間にできた子供と見ていいだろう。その漢字も「英雄」=「えいゆう」=「ヒーロー」と取ることができる。
「ここに生まれてきてよかった」と何者でもない自分自身と目の前にある幸せを抱きしめ、光誠は更紗の肩で「いいことが重なりすぎた」と笑顔を浮かべ目を瞑った。ここで気になるのは光誠が障子戸で頭を打つシーン。もしここで根尾光誠と野本英人が再び元の身体に転生していたとしたら、英人は元の身体に戻った状態で生涯を終えたことになるが、それだと“代償は命”というルールが本当にあやふやになったまま。それに、本作が伝えたかったのは、置かれた環境で人の性格は変わるということであれば、野本英人としての未来を歩み始めた光誠がそのまま幸せを感じこの世を去ったとすれば、綺麗な物語の終わり方ではないだろうか。
ただ、正直なことを言えば、「結局あれはなんだったのか?」という謎を多く残したまま幕を閉じてしまったことも事実だ。第1話での夜の亀岡八幡宮のノイズ音や根尾光誠と野本英人の腹違いの兄弟説など。ただ、それら考察要素と同等、もしくはそれ以上に視聴者を惹きつけていたのは、高橋一生による根尾光誠と野本英人の一人二役を超えた複雑な芝居にほかならない。高橋一生と高橋一生が対峙する、最終回での異例のシーンは、きっと本人もこの先あるか分からない初めての芝居だったはず。根尾光誠であり野本英人のような、野本英人であり根尾光誠のような、もしくはそのどちらでもない――。そんなほかの共演者との芝居の中で生きる高橋一生もまた俳優として、一人の人間として変化を遂げたはずだ。
■配信情報
『リボーン ~最後のヒーロー~』
TVer、TELASAにて配信中
出演:高橋一生、中村アン、鈴鹿央士、横田真悠、小日向文世、市村正親
脚本:橋本裕志
演出:藤田明二、麻生学、二宮崇
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:山形亮介(テレビ朝日)、中込卓也 (テレビ朝日)、河野美里 (ホリプロ)、奥村麻美子(ホリプロ)
音楽:佐藤航
主題歌:宮本浩次「I love 人生!」(UNIVERSAL SIGMA)
制作協力:ホリプロ
制作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
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