『銀河の一票』『17才の帝国』『笑うマトリョーシカ』 政治ドラマが映す“社会の変貌”
『笑うマトリョーシカ』
櫻井翔、『笑うマトリョーシカ』清家役がなぜここまでハマる? “空っぽの器”になる天才
好感度と清潔感、爽やかさを貼り付けたような完璧な笑顔と聴衆の共感を誘う絶妙な間合いの演説……これらは未来の総理候補と噂される若き…早見和真の原作小説を2024年にドラマ化した作品(TBS系)。ジャーナリストの道上早苗(水川あさみ)が主人公だが、実質的な主人公は好感度抜群の若手政治家・清家一郎(櫻井翔)である。
清家を操る“ハヌッセン”(ナチスドイツでヒトラーを操っていたとされる黒幕的な人物)は誰なのかを探りながら、人間の欲望渦巻くストーリーが繰り広げられるが、最終回は驚きの展開が待っていた。
実は黒幕など存在せず、権力を追い求めていたのはヒトラーに傾倒する清家自身だった。そして5年後、清家は総理に就任して憲法改正を実現。権力を集中させ、人権を制限する緊急事態条項を創設したところでドラマは終わる。
放送時は清家と小泉進次郎氏との酷似ぶりが注目を集めていた。櫻井翔の怪演が光る、ゾッとさせられる作品だった。
なお、『民衆の敵』、『17才の帝国』、『笑うマトリョーシカ』の3作品で共通して、不正を行っていた議員の秘書が自殺するエピソードが描かれている。それだけ政治の世界ではよくある出来事ということだろう。ジャーナリストやメディアの告発によって不正が明るみになった政治家が失脚する描写を見ると、放送されていた当時からの社会の変貌ぶりを実感する。
ほかにも『半沢直樹』のシーズン2(TBS系/2020年)では半沢(堺雅人)らが与党の幹事長・箕部(柄本明)の不正を暴く場面がクライマックスに据えられていたし、『エルピス—希望、あるいは災い—』(カンテレ・フジテレビ系/2022年)では報道に圧力をかけていた大門副総理(山路和弘)が厳しく追及される場面があった(大門は麻生太郎元副総理そっくりだった)。Netflixの『離婚しようよ』(2023年)では選挙の狂騒が描かれている。
『銀河の一票』を観ればわかるように、よくできたフィクションと現実は地続きだ。繰り返しになるが、我々の生活と政治は切り離すことができない以上、これからも政治を扱うドラマは、少ないながらも作り続けられるはずである。まずはこれから放送される『銀河の一票』のクライマックスを見届けておきたい。
■放送情報
『銀河の一票』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00~放送
出演:黒木華、野呂佳代、三浦透子、渡邊圭祐、倉悠貴、小雪、本上まなみ、シシド・カフカ、岩谷健司、山口馬木也、木野花、岩松了、坂東彌十郎、松下洸平ほか
脚本:蛭田直美
演出:松本佳奈、藤澤浩和、瀧悠輔、稲留武
プロデュース:佐野亜裕美(カンテレ)
制作プロデュース:植木さくら、森田美桜
音楽:坂東祐大
主題歌:浜野謙太(在日ファンク)&後藤真希 feat. 黒木華&野呂佳代「おーへい」(日本コロムビア)
制作協力:AOI Pro.
制作著作:カンテレ、MYRIAGON STUDIO
©︎カンテレ
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