宇野維正の映画興行分析
ハリウッド映画が3年半ぶりにトップ3独占 しかし洋画全体では楽観できる要素なし
5月第4週の動員ランキングは、劇場映画としては6年半ぶりの『スター・ウォーズ』フランチャイズの作品、『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』がオープニング3日間で動員43万5000人、興収7億4900万円をあげて初登場1位となった。監督はディズニープラスで2019年にスタートしたテレビシリーズ『マンダロリアン』でもショーランナーを務めているジョン・ファヴロー。主演はマンダロリアンことディン・ジャリン役を演じているペドロ・パスカル。もっとも、タイトルからも明らかなように、今回の映画化についてはテレビシリーズ『マンダロリアン』に出てくるキャラクター、ベイビー・ヨーダことグローグーの人気が大きく後押しをしていて、見せ場の多くはグローグーにまつわるシーンとなっている。
そもそも『スター・ウォーズ』自体が第1作(1977年)からファミリー層に向けられた作品であったとも言えるわけだが、アメリカのCBSで1978年に放送された『The Star Wars Holiday Special』や、ABCで1983年から放送されていた『イウォーク・アドベンチャー』シリーズ2作品(日本では劇場公開)など、よりファミリー層向けに焦点を絞って作られた作品はテレビで放送されてきたという歴史がある。ちなみに、『スター・ウォーズ』にマンダロリアン族が最初に登場したのも、実は映画ではなく、『The Star Wars Holiday Special』が初お目見えとなったボバ・フェット。
そういう意味で、今回の『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』は、『スター・ウォーズ』フランチャイズがディズニーの傘下になってから作られてきたスピンオフ映画2作、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)と『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年)とはかなり成り立ちの異なる作品となる。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の最終興収は46.3億円。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の最終興収は21.4億円。『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』の出足はちょうどその中間くらいなので、『スター・ウォーズ』スピンオフ映画の悪い流れは、ディズニーの目論見通り一旦ここで断ち切ることができたと言っていいだろう。
これで、『リトル・マーメイド』と『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』がトップ3だった2023年6月第3週以来、約3年ぶりにトップ3をハリウッド映画が独占。近視眼的には洋画復活の声も上がりかねない状況だが、『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』も『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』も『プラダを着た悪魔2』も当たるべくして当たっている作品(むしろ『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』は前作からの下落率も高い)。来月公開作品も、『Michael/マイケル』(6月12日公開)を除けば興行的に楽観できる作品は見当たらない。
■公開情報
『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』
全国公開中
出演:ペドロ・パスカル、シガニー・ウィーバー
監督:ジョン・ファヴロー
吹き替えキャスト:阪口周平、内田雄馬、山寺宏一、駒塚由衣、稲葉実、上田燿司、乃村健次、梅田貴公美
製作総指揮:デイヴ・フィローニ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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