『GIFT』悩める玉森裕太に堤真一がかけた言葉 日曜劇場が問い続ける父親のあり方
5月24日に放送された『GIFT』(TBS系)第7話は、悩める親子の葛藤を照らした。選手権まで35日。打倒シャークヘッドを目標に掲げるブレイズブルズは、シャークを退団したブラッドリー(澤井一希)を招いて対策に取り組む。伍鉄(堤真一)は、広江(山口智子)から同居を提案され、昊(玉森裕太)と親子3人での暮らしが始まった。しかし、父親らしい接し方がわからず、伍鉄は悩む。
第7話では、2人の父親の姿が映し出された。伍鉄とブルズのキャプテン立川(細田善彦)である。2人とも家族との関係に悩んでいた。伍鉄は、昊の「俺、ニセモノなんです」という悩みを受け止められなかった。立川は、娘たちが、自分と距離を取るようになったことに胸を痛めていた。
今作を貫くテーマが“家族”で、特に解像度が高いのが父と子の関係である。ドラマが後半に入り、昊が伍鉄との関係性を明かすことで、そのテーマが前面に出てきた。
あらためて、父親の存在について考えてみたい。ひとり親家庭が増え、多様な家族のあり方が認められるようになった。「父親はこういうもの」とひとくくりにできない中で、あえて父親の役割を再定義するなら何になるだろうか?
立川がり患しているのはシャルコー・マリー・トゥース病。指定難病であり、末梢神経障害によって四肢の筋力が低下し、感覚が鈍くなっていく。「いつどのくらい悪くなるのかわからない」病気に、立川は先が見えない恐怖を抱いていた。それでも父親として家族を守らなければならない。いつか子どもたちは離れていく。寂しさと怖れが立川の心を占めていた。
明るくチームメイトを励ますキャプテンの悩みの深さに驚いた。考えてみると、パラスポーツの担い手は、各人が疾患や障がいを抱えて日常を送っている。決して誇張された話ではない。そのことは、涼(山田裕貴)が医師から告げられた検査の所見でも示唆された。
かつてのような男性優位ではなくなった社会で、男親は月のようなものかもしれない。暗黒の宇宙で静かに光を届ける存在は、私たちを見守るようでもある。立川の苦悩は、伍鉄とも共通する部分があった。悩みの渦中にいる伍鉄に国見(安田顕)がかけた言葉と、立川に対して涼が返した一言が核心を衝いていた。
「見ていてあげることじゃないですかね」と国見は言い、涼も「子どもって見ていたいんですよ」と語る。見ることと、見せること。2人が言う内容は、一見すると真逆に感じられるが、真意は重なり合う。互いの存在を信じて、相手の視線に自分をゆだねること。そこには伝えたい思いがあり、言葉にならない信頼に支えられている。
父親は孤独だ。「逃げられたらどんなに楽なんだ」と立川がこぼすのはもっともだ。それでも、そばにいてくれるだけで実は助かっていることが山ほどある。それが親子ではないだろうか?
「逃げる背中じゃなくて、どんなに遅くても、痛々しくても、歩く親の背中を見ていたいんですよ」と話す涼も、父親と話せない孤独を抱えていて、自分が得ていないものを仲間に失わないでほしいと願う、その心が美しかった。
父性のあり方を問い続けてきたTBS日曜劇場で、このテーマを正面から問うことには意味があると感じる。父親の役割が多様化する中で、伍鉄の言葉は一つの答えになっていた。どうしていいかわからないと吐露する昊に、伍鉄はこう言う。
「それでも答えは自分で出すんです。宇宙ってのは、コツコツ考えて、ようやくたどり着いた答えが、ある日突然全部ひっくり返ったりするんです。それでも探すんです、答えを。何度も、何度でも」
背中越しに発する伍鉄の言葉にはえも言われない説得力があった。筆者も、離れて暮らす父にひさしぶりに連絡しようと思った。背中で語る堤真一の名演だった。
■放送情報
日曜劇場『GIFT』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
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