朝ドラの“最強女性バディ”は? 『あまちゃん』『芋たこなんきん』から『風、薫る』まで
姉妹でありバディでもあった冬子(石原さとみ)と秋子(上野樹里)
『てるてる家族』(2003年後期)は、大阪・池田のパン屋の家に生まれ育った個性豊かな岩田家4人姉妹とその家族、そして周囲の人々の姿を描いた群像劇だ。スケートの才能を開花させ、オリンピックにも出場した長女・春子(紺野まひる)、歌手として紅白歌合戦に出場した次女・夏子(上原多香子)の華々しい活躍とは対照的に、四女で主人公の冬子(石原さとみ)と三女の秋子(上野樹里)はいわゆる“普通”の女の子として描かれた。
将来の目標が見つからず「がんばれるものがない」と嘆き、紆余曲折ありながら最終的には家業のパン屋を継ごうとする冬子。そして、岩田家きっての秀才でありながら「激しい情熱を持ちながら、普通に生きてみたいねん」と語った秋子。ふたりはいつでも一緒で、互いを「仲良しの天才」と呼び合った。
非凡な才能を持つ上の二人とは違う生き方を模索していく冬子と秋子。彼女たちもまさに「二本の矢」であった。母・照子(浅野ゆう子)を筆頭に、ある種エキセントリックともいえる岩田家に巻き起こる様々な騒動を、「普通の人」としてのバランス感覚を持つ冬子と秋子が丸く収める場面が数多くあった。この2人の存在が、情熱は日々の生活にも宿るということ、そして実は「普通の人」などどこにもいないのだということを体現していた。
4人のバディを描いた『べっぴんさん』
「バディ」というととかくコンビを連想しがちだが、なにも「相棒」は2人組でなくたってかまわない。「4人のバディ」のベビー服への情熱と、子どもたちの未来への祈りを描いた『べっぴんさん』(2016年後期)という朝ドラがあった。
主人公・すみれ(芳根京子)が、自分と同じく戦後の神戸を必死に生きる明美(谷村美月)、良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)という3人の仲間を集め、ベビー服の店を立ち上げてイノベーションを起こしていく。布に針と糸を通す音が聴こえる、静かで穏やかで、人によっては「地味」に映った朝ドラかもしれない。しかし実は、シナリオ構造的に言えば「桃太郎型」。主人公が仲間を集めて冒険をしながら進化を続けるという、王道の物語でもあった。
一緒にいるから強くなれる。ひとりの力では成し得ないが、最強のパートナーと一緒ならば、分厚い壁を打ち破れるかもしれない。背景も性格も違う者同士がタッグを組んで突き進み、何か大きなことを成し遂げる。そんな「バディ」の物語に、人は惹かれるのだ。『風、薫る』のりんと直美は、果たしてこれからどんなバディになっていくのだろうか。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK