山下智久が代表作を更新 映画『正直不動産』は令和ビジネスエンタメの決定版に
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、15年間同じ家に住み続けている宮川が映画『正直不動産』をプッシュします。
映画『正直不動産』
2022年にNHKでドラマ化されて以降、スペシャルドラマ、シーズン2、スピンオフ&スペシャルドラマが放送され、人気シリーズ化した山下智久主演の『正直不動産』。地上波連続ドラマが映画化される際、往々にして「なぜ映画館で観る必要があるのか」というスケール感の問いに直面するものだが、『正直不動産』はそのハードルをクレバーな形でクリアし、むしろ劇場版だからこそのダイナミズムを獲得することに成功している。
本作の根底にあるのは、「千の言葉のうち真実は三つしかない(千三つ)」と言われる不動産業界を舞台に、祟りによって嘘がつけなくなった営業マン・永瀬財地(山下智久)が、文字通り“正直”さだけを武器に突き進むビジネスコメディだ。
映画化にあたり、まず目を引くのが制作布陣の絶対的な安定感。脚本の根本ノンジ、監督の川村泰祐という、ドラマ版をヒットに導いたコンビが続投。連続テレビ小説『おむすび』なども手がける根本の脚本は、専門的で難解になりがちな不動産の知識を、エモーショナルな人間ドラマへと落とし込む手腕が相変わらず見事だ。さらに、アメリカロケの敢行、ライバル会社・ミネルヴァ不動産が仕掛ける史上最悪の地上げ計画など、映画ならではのスパイスとスケールアップが随所に施されている。それでいて、ヒロイン・月下咲良役の福原遥、永瀬の永遠のライバル・桐山貴久役の市原隼人、『クロサギ』(TBS系)で共演して以降、山下と親交が深い石田努役の山﨑努ら、過去シリーズに出演してきたキャスト陣が集結している点もファントしては嬉しいところ。
特筆すべきは、やはり主演・山下のパブリックイメージと、永瀬財地というキャラクターのマッチ具合だ。クールで完璧な二枚目という印象の強い山下が、劇中で“風”に吹かれ、顔を歪めながらも本音をぶちまけてしまうコミカルな姿は、今や彼の新たな代表作としての地位を不動のものにした。しかし、単におかしいだけではない。嘘がつけないからこそ、顧客の人生に誰よりも深くコミットせざるを得なくなる永瀬の姿には、現代社会が忘れかけている“誠実さの美徳”が宿る。山下が放つ特有の説得力と、相棒・月下咲良を演じる福原のひたむきなエネルギーが交わることで、本作は単なるドタバタ劇を超えた、血の通ったハートフルドラマへと昇華される。
「誰のための不動産なのか」「家を売るとは、どういうことなのか」。永瀬たちが立ち向かう難題は、そのまま我々の生活や街の未来に直結する問いでもある。笑って、泣けて、最後にスカッとするエンターテインメントとしての純度を100%保ちながらも、観客の心に確かな一石を投じるバランス感覚こそ、このチームの強みと言えるだろう。
テレビ画面から銀幕へとスケールを広げ、心地よい風を劇場に吹かせる本作(なんとMX4Dでも上映される)。リアルサウンド映画部では、主演を務めた山下の単独インタビューを近日公開予定なので、そちらもぜひチェックしてほしい。
■公開情報
映画『正直不動産』
全国公開中
出演:山下智久、福原遥、市原隼人、泉里香、長谷川忍(シソンヌ)、見上愛、松本若菜、西垣匠、伊藤あさひ、財津優太郎、馬場徹、松田悟志、山﨑努、吹石一恵、岩﨑大昇(KEY TO LIT)、やべきょうすけ、福士誠治、吉澤健、市毛良枝、ディーン・フジオカ、大地真央、倉科カナ、高橋克典、草刈正雄
原作:大谷アキラ(漫画)、夏原武(原案)、水野光博(脚本)『正直不動産』(小学館『ビッグコミック』連載中)
監督:川村泰祐
脚本:根本ノンジ
音楽:佐橋俊彦
製作幹事:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
制作プロダクション:NHKエンタープライズ、テレパック
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©大谷アキラ・夏原武・水野光博/小学館 ©2026 映画『正直不動産』製作委員会
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