『月夜行路』東京編は“文学版ホームズ”の幕開け “ルナ”波瑠の切ない過去が動き出す

 日本テレビ系水曜ドラマ『月夜行路 -答えは名作の中に-』第6話から、物語は東京編へと入った。大阪での旅を通して、涼子(麻生久美子)は23年前の恋人・カズト(作間龍斗)との別れに隠されていた真実を知り、ルナ(波瑠)が自分を連れ出した理由にも向き合った。それから1カ月後。穏やかな日常の中から、新たな謎が動き出す。東京編は、まさに“文学版ホームズ”の幕開けとなった。

 そこにいるのは、東京に異動してきた田村(栁俊太郎)。さらに小湊(渋川清彦)までもが刑事を辞め、知人と人材派遣会社を立ち上げて東京へやってくる。大阪編で出会った面々が、東京で再び顔をそろえるだけでも楽しい。そんな空気の中に現れたのが、ルナの従兄・正義(田村健太郎)だった。用件は、ルナの父のパソコンのパスワードを解読してほしいというもの。母からの伝言だと聞いた瞬間、ルナはなんとも言えない表情を浮かべる。その小さな変化を、涼子は見逃さない。

 帰宅後、涼子が菊雄(田中直樹)に相談すると、ルナが大きな病院の跡継ぎだったこと、小説家になるために医大を中退したこと、それ以来家族と会っていないことが明かされる。これまで誰かの人生を文学で読み解いてきたルナにも、まだ触れられていない過去がある。父のパソコンのパスワードの唯一のヒントは、デスクトップに設定された夏目漱石『吾輩は猫である』初版本の画像だった。

 手がかりを求めて、ルナは田村を伴い下北沢の老舗古書店「桜書房」へ向かう。店主の倉田(伊武雅刀)は、かつてルナが謎解きサークルで知り合った人物。夜桜を眺めながら、梶井基次郎『檸檬』や坂口安吾『桜の森の満開の下』をさらりと語るルナは相変わらずだ。だが、店に入った瞬間、その空気は一変する。そこにいたのは、頭から血を流して倒れている倉田だった。

 現場からは高価な古書と現金が消えており、一見すると強盗事件のように見える。だが、ルナはすぐに別の違和感を拾い上げる。なくなっていたのは芥川龍之介『地獄変』、川端康成『伊豆の踊子』、坂口安吾『黒谷村』の3冊。そしてトレーには、なぜか10円玉が1枚だけ残されていた。そこへ、宅配便「スマート運輸」の鈴本(吉田晴登)が現れる。彼は、倉田の孫・桜を見かけたと証言するが、その桜はすでに亡くなっているという。追いかけた先で突然姿を消し、桜の花びらだけが舞っていたという話も、まるで坂口安吾の世界のようだった。

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