『名探偵コナン』のアクションはいつからカオスに? 複数ジャンルを内包する劇場版の魅力
※以下、『ハイウェイの堕天使』の具体的な描写を含みます
『ハイウェイの堕天使』においては、アバンタイトルから萩原千速のバイクアクションが存分に盛り込まれる。高速道路の遮音壁を駆け抜けるシーンがこの段階から登場するのは現実離れした『コナン』らしさを感じさせるし、本作がアクションを重視した作品であることをこの段階で宣言していると言っていいだろう。バイクの疾走感、ドリフト、そしてカーチェイス。本作のメインキャラクターである萩原千速によるバイクアクションこそ本作最大の魅力であり、随所に千速をはじめとした各キャラによる現実離れした大胆なアクションシーンが盛り込まれている。警視庁の交通課キャラの宮本由美、三池苗子らが乗車するミニパトの上半分がなくなってしまう描写などはまさにツッコみながら観たい描写のひとつだろう。コナンらとチェイスを繰り広げた果てにビル内にバイクごと突入し戦闘を繰り広げる犯人についても、思わず笑ってしまう驚きの描写と言っていいだろう。なによりもクライマックスにおけるベイブリッジのシーケンスはコナンらしい大胆なアクションが繰り広げられる。ヘリへの飛び乗り、ヘリ内部でのキック力増強シューズによるシュート描写、そしてヘリから橋への飛び降り……。クライマックスで描写されるすべてのアクションが、劇場版『コナン』シリーズらしい超然さに溢れているのだ。
こうした超現実的なアクション描写に乗れないファンにとっては本作の評価を落とす理由となってしまうだろうが、一方でこうしたアクションを求めているファンにとっては『ハイウェイの堕天使』はまさにド真ん中な作品。上述した通り、『コナン』はミステリー、サスペンス、ラブコメ、アクションと様々な要素で構成されているだけでなく、その配分についても各作品に応じてかなり振り幅がある。一概に『コナン』ファンといっても作品に求める要素は人それぞれであり、作品ごとに評価がくっきりと分かれるのはある意味必然であり、本シリーズならではの現象だ。そうした他作品にはない本シリーズならではの特異性が、毎年公開を重ねながらも右肩上がりに興行収入を更新し続けている理由なのかもしれない。
■公開情報
『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
全国公開中
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン役)、山崎和佳奈(毛利蘭役)、小山力也(毛利小五郎役)、沢城みゆき(萩原千速役)、三木眞一郎(萩原研二役)、神奈延年(松田陣平役)
スペシャルゲスト:横浜流星、畑芽育
原作:青山剛昌
監督:蓮井隆弘
脚本:大倉崇裕
音楽:菅野祐悟
主題歌:MISIA「ラストダンスあなたと」(Sony Music Labels Inc.)
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©2026 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会