『風、薫る』佐野晶哉が気になって仕方がない 『カムカム』松村北斗に続く飛躍なるか?
視聴者の最も大きな関心事は、そんなシマケンとりんが今後どのような関係になっていくかということだろう。『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 風、薫る Part1』(NHK出版)で、佐野は「(シマケンは)りんの何気ないひと言に心をつかまれ、やがて恋という初めての感情に出会うんです」と語っている。いずれはりんが互いに思い合っていた幼なじみ・虎太郎(小林虎之介)とも出会うようで、三角関係に身を投じることになるのではないか。
数多くのキャラクターが登場する朝ドラの中でも、特に耳目を集めるヒロインの“恋のお相手”。『あまちゃん』(2013年度前期)の福士蒼汰、『半分、青い。』(2018年度前期)の中村倫也、『スカーレット』(2019年度後期)の松下洸平、『おむすび』(2024年度後期)の佐野勇斗など、ブレイク前夜の俳優陣が視聴者の心を鷲掴みにし、さらに飛躍を遂げていった。
松村北斗×稔がまとう文学的な香り 『カムカムエヴリバディ』を煌めく物語に
きっちりと着こなす詰襟に、朗らかで優しい声。投げかける瞳は一点の曇りなく、いつだって安子(上白石萌音)を真っ直ぐに捉えている。N…近年で最も印象深いのは、2021年度後期放送の『カムカムエヴリバディ』で初代ヒロインの安子(上白石萌音)が恋に落ちる稔を好演した松村北斗(SixTONES)だ。太平洋戦争で戦死してしまい、出演は最初の4週のみとなったが、松村が体現する王子様のような好青年ぶりに魅せられる人が続出した。その後、松村が『夜明けのすべて』『ファーストキス 1ST KISS』『秒速5センチメートル』で立て続けに名演を重ね、日本映画界に欠かせない存在となっていったのは周知の事実。Aぇ! groupのメンバーで、松村の所属事務所の後輩にあたる佐野もまた同じ道を歩むのではないかという期待を抱かずにはいられない。
もっとも、佐野はすでに映画界で多くの爪痕を残している。2022年には、『20歳のソウル』にて主人公・大義(神尾楓珠)と同じく吹奏楽部のメンバーで、パーカッションを担当する佐伯斗真を演じた佐野。団体行動に馴染めず、青春を遠ざけていたところから、何事にも一生懸命な親友の姿に突き動かされる等身大の若者像を繊細に見せていた。普段はアイドルとしてステージ上でキラキラとした輝きを放っている佐野だが、俳優業では憂いを帯びた表情が印象に残ることが多い。2025年公開の映画『か「」く「」し「」ご「」と「』での“ヅカ”こと高崎博文役が顕著で、明るくクラスのムードメーカーでありながら、どこか周りを俯瞰的に見ている彼の二面性を佐野は見事に表現している。だが、決して冷淡なキャラクターではなく、人としての温かみも付随させる難しい技をやってのけているのだ。今回のオファーもそんな実績を買われてのことだろう。起用理由については「佐野晶哉さんは切ない表情が印象的で、あふれる知性を持ちながらも自らの生き方を模索するシマケンをぜひ演じてほしいとオファーしました」(※1)とのこと。心の機微を表現できる佐野は、シマケンを演じるのに適任というわけだ。
佐野がインタビューで「りんさんはシマケンに看護婦としての将来を相談してくれるんですけど、シマケン自身は『ちゃんと相談に乗ろう』としているわけでもなくて。だからこそ、少し距離を保ったまま投げられる言葉があって、その一つひとつがすごく印象的なんです」と語っていることから(※2)、シマケンは単なるりんの恋の相手としてのみならず、その人生に並走する心強いパートナーになっていくと思われる。すでにその予兆を感じさせるが、回を追うごとにシマケンの魅力に虜になりそうで、少し怖くもある。
参照
※1.https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/33a6e175bcbe0b122765c2887e66ab9fe3b377f1
※2.https://realsound.jp/movie/2026/04/post-2363515.html
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK