『九条の大罪』から一転 町田啓太が『タツキ先生は甘すぎる!』で示す“令和のヒーロー像”

 町田啓太という俳優を語る上で、近年の話題作との対比は避けて通れない。Netflix映画『10DANCE』で町田が見せた表現は、今回のタツキが示す「受容」とは、まさに真逆といっていいほどの距離がある。

 社交ダンスの世界を描いた同作では、トップダンサーの杉木信也を演じた。伝統と格式を重んじ、完璧な美しさを追求するキャラクターだ。指先一つ、視線一つにまで自己管理を徹底する。真っすぐに伸びた背筋は、決して他者を寄せ付けない孤高の美学を放っていた。そこにあったのは、受容とは正反対の、張り詰めたストイックさだ。

『10DANCE』Netflixにて独占配信中

 社交ダンスの舞台で、頭の先から指先までピンと伸びたあの身体が、本作では子どもたちの目線に合わせて、驚くほど低い位置へと降りてきている。あえて同じ高さに身を置くことで、彼は子どもたちの視界から「大人という壁」を取り払い、全身で受容の姿勢を示しているのだ。

 町田が表現する「タツキ」という人物は、これまでのテレビドラマが描いてきたヒーロー像とは、明らかに一線を画している。かつての学園ドラマを彩ったのは、「熱血」や「カリスマ」といった、圧倒的なエネルギーで生徒を導くリーダーたちが多かった。そこには常に、迷える者を正解へと引き上げる、ある種の力強さが存在していたように思う。

『タツキ先生は甘すぎる!』©日本テレビ

 正論に背中を押されるよりも、ただ「今のままの自分」でいさせてほしい。そんな現代の切実な願いに応える「余白」を、町田は圧のない柔らかな芝居で作り出した。綾香が描いた「ひとりぼっちのスズメ」の絵を前にしたとき、タツキはただ静かに、綾香の「学校に行きたくない」という気持ちを受け入れた。導こうとしないことで、結果として誰よりも深く寄り添う。その静かな佇まいこそが、頑張りすぎる私たちを全肯定してくれる、令和の新たな優しさの形なのだ。

 「何かに追われる必要はない」という肯定は、同時に「自分らしく生きる」という、ある種の覚悟を伴う道への誘いでもある。タツキを通して、町田啓太がいかに現代の子どもたち、そして閉塞感を抱える大人たちのヒーローを体現していくのか。その挑戦の行方から、一瞬たりとも目が離せそうにない。

■放送情報
『タツキ先生は甘すぎる!』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:町田啓太、松本穂香、藤本美貴、寺田心、三遊亭好楽、比嘉愛未、江口洋介
脚本:徳尾浩司
演出:鈴木勇馬
音楽:得田真裕
主題歌:福山雅治「拍手喝采」(アミューズ/Polydor Records)
プロデューサー:岩崎秀紀、秋元孝之、大護彰子
チーフプロデューサー:荻野哲弘
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tatsuki/
公式X(旧Twitter):https://x.com/tatsuki_ntv

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