加藤清史郎、“子ども店長”から“怪演俳優”へ 『君が死刑になる前に』で放つ緊迫感

 加藤の演技の魅力は、そこに立っているだけで場の空気を震撼させるような「緊迫感」にある。緊迫感が光っていた演技といえば、記憶に新しいのが『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)で演じた相楽琉偉だ。

加藤清史郎、“名子役”から“演技者”へ 『最高の教師』相楽役で視聴者を圧倒

“子役”はいつから“子役”であることをやめるのだろうか。彼・彼女らはいつから一人の俳優として認識されるのだろうかーー。  放送…

 彼は「楽しい」を最優先に行動する人物だが、その優先の仕方が徹底して自分本位で、どこか危うい。気に入らないことがあれば「うるせぇー」と絶叫し、机や椅子を勢いよく蹴り飛ばして周囲を威嚇する。廊下でぶつかった相手には、ためらいなく首元を掴んで睨み返す。

 その一連の行動には、ただの「我儘で乱暴な生徒」という枠では収まりきらない、追い詰められた「いじめっ子特有の歪さ」が滲んでいた。

 加藤の演技の凄さは、外側に見える歪みを「ただの歪み」として消費させないところにある。相楽は、人前でも両手をポケットに突っ込み、相手を挑発するような目線を向ける一見「最強無敵」の存在だが、その強がりの奥には、どうしようもない弱さが潜んでいる。怒鳴り声や乱暴な仕草の奥には、言葉にできない思春期特有の「焦りや孤独」も透けて見えていた。

 加藤が学生時代特有の「揺れ」をここまで生々しく体現できたのは、子役時代から積み重ねてきた演技の基礎がしっかりと息づいているからだろう。人は弱いからこそ心を武装し、無理にでも強く見せようとするものだ。その心の揺れを、細やかな表情の変化で、見事に掬い上げていた。

加藤清史郎の“大人”の演技がすごすぎる “二面性”を実現させた『放送局占拠』での演技力

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 加藤が、緊迫感と同時に「演技の幅広さ」を存分に発揮していたのが、『放送局占拠』(日本テレビ系)で演じた警察官・伊吹裕志だ。オールバックの髪型に険しい表情を宿した伊吹は、姉譲りの強い正義感を胸に、捜査員としても優秀な人物として描かれていた。しかし、一瞬の油断からスプレーを浴びて拉致されてしまう。

 その後、武装集団「妖(あやかし)」のリーダー・般若の正体が伊吹だったと明かされた瞬間には度肝を抜かれたものだ。正体を明かした瞬間、前をまっすぐ射抜くような鋭い眼差しを向けた伊吹には、般若として生きると決めた「覚悟」が宿り、加藤の表現力の「幅広さ」を改めて思い知らされた。

 加藤がこれまで演じてきた役には、無邪気さの裏に潜む歪み、正義感から一変した「闇落ち」、強がりの奥にある脆さなど、視聴者の予想を軽々と裏切る「印象の反転」が、実に多い。最初に抱いたイメージが、物語が進むにつれて別の顔へと変わっていく。その変貌の幅こそが、彼の演技の醍醐味でもある。

 『君が死刑になる前に』の第1話は、白鳥先生(輝有子)の殺害現場を、琥太郎がただ「白鳥……先生……」と呟きながら、呆然と見つめるシーンで幕を閉じた。

 第2話予告では、汐梨に向かって琥太郎が「何かを隠していると思う……」「あなたは人を殺しましたか……」と呟くシーンが映し出される。

 目の色を変えず、口元だけがわずかに動くその表情には、静かに滲む狂気のようなものが潜んでいる。淡々とした声の奥に、何かが軋むような不穏さがあり、物語が「ただのサスペンスでは終わらない」ことを強く予感させた。琥太郎の視線の先には、一体どんな真実が待ち受けているのか。

■放送情報
『君が死刑になる前に』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週木曜23:59~24:54放送
出演:加藤清史郎、鈴木仁、与田祐希、内博貴、ニシダ・コウキ、伊礼姫奈、内田慈、唐田えりか
脚本:森ハヤシ、武田雄樹
監督:川井隼人、宗野賢一、澤由樹
チーフプロデューサー:山本晃久(読売テレビ)
プロデューサー:矢部誠人(読売テレビ)、鈴木藍(ホリプロ)
音楽:16FLIP
制作協力:ホリプロ
制作著作:読売テレビ
©︎読売テレビ
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/kimishike/
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