Netflix『HUMINT』ラストの銃撃戦は必見 リュ・スンワン監督ならではの心理描写に

 この映画は韓国では、2026年2月の旧正月シーズン(日本でいえばお正月興行)に、最大注目作のひとつとして公開された。それが早くもNetflixで全世界配信開始されたことで、「巨額の製作費を回収できなかったのが原因か」など、さまざまな憶測を呼んでいるが、作品自体は手堅くまとまったスパイアクション映画として楽しめる。特にクライマックス、30分近く続く銃撃戦は、この映画のハイライトだろう。場所や見せ方が次々変奏され、一瞬たりとも目が離せない(ちなみに、女性たちがとらわれているショウケースが、このシークエンスのなかで独創的な役割を果たすのだが、これは観る者に映画的感動をもたらすと同時に、何かもやもやとした気持ちを与えるかもしれない)。

 この銃撃戦のシークエンスでもうひとつ特筆すべきは、アクションと並行して人物相互の感情のやり取りが、表情と行動で雄弁に描写されつづけることだ。それゆえ長いアクションシークエンスのあいだも、キャラクターたちの情動面でのドラマの流れが途切れることはない。

 そして、これは奇妙なことかもしれないが、これほど手のこんだアクションがありながらも、いま述べた途切れることのない心理描写のせいもあるのだろう、観終わったときわたしたちの心に最も残るのは、パク・ゴンとチェ・ソナの哀切なラブストーリーだ。これまでさまざまな作品で個性的かつ印象的な演技を見せ、賞賛を集めつづけていながらも、ロマンスのイメージは薄かったパク・ジョンミンが、国家と愛とのはざまで引き裂かれるパク・ゴンを鮮烈に演じ、新たな魅力を見せる。シン・セギョン演じるソナが、銃撃戦の混乱のなかで変貌していく姿も感動的で、ここで彼女が獲得する強さは、結末での選択へとつながっていくだろう。

■配信情報
『HUMINT/ヒューミント』
Netflixにて独占配信中
監督:リュ・スンワン
出演:チョ・インソン、パク・ジョンミン、パク・ヘジュン、シン・セギョン、ロバート・マーザー

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