小林虎之介が『風、薫る』で得た確かな手応え 見上愛とは「あえてたくさんは喋らない」

 現在放送中のNHK連続テレビ小説『風、薫る』。明治という激動の時代を舞台に、自分の道を切り開いていく主人公の一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)の姿を描く本作。その中で、りんの幼なじみ・竹内虎太郎を演じているのが小林虎之介だ。

 身分の差や運命に翻弄され、なかなか思いが通じ合わない不器用な虎太郎だが、そのまっすぐな姿は早くも視聴者の心を掴んでいる。朝ドラ初出演となる小林に、役へのアプローチや、座長・見上愛の頼もしい素顔、そして虎太郎の“男気”が溢れるシーンの裏話などを語ってもらった。

「虎太郎」という役名は少し恥ずかしい(笑)

ーーまずは、歴史ある朝ドラ初出演が決まったときの心境を教えてください。

小林虎之介(以下、小林):幅広い世代の方に観ていただける、全国で認知されている枠のドラマなので、決まったときは素直にうれしかったです。ただ、役名の「虎太郎」に僕の名前と同じ「虎」の字が入っていることに関しては、すごく縁を感じる一方で、少し恥ずかしい部分もあって。今後、役名と本名を間違えられて「虎太郎くん」って呼ばれそうだなとか、いろいろ思っています(笑)。

ーーご家族からの反響はいかがでしたか?

小林:「すごいじゃん!」みたいに喜んでくれる家族ではないので、反応は割と淡々としていました。「3月30日から朝ドラ出るよ」と伝えても、「浮かれずに頑張れ」と励まされるくらいで(笑)。でも、オーディションを一緒に受けていた俳優の友達に報告したときは、「すごく雰囲気のいいチームだから、そこで一緒にやれるのはいいな」と言ってもらえました。

ーー虎太郎というキャラクターの魅力と、ご自身との共通点をどう捉えていますか?

小林:本当に汚れた部分がなくて、素直でまっすぐでピュアな子です。ただ、本当に事態のタイミングが悪くて、りんの境遇と噛み合わない部分もあるんですけど……。常にりんのことを思い続けて行動しているのが魅力ですね。僕自身と似ているのは、まっすぐなところくらいかなと思います。監督からは「明治を生きている男として、精悍(せいかん)で強くあってほしい」とよく言われているので、そこは意識して演じています。

ーー明治時代という設定ならではの難しさもあったのではないでしょうか。

小林:そうですね。普段の僕に近い感じで自然にやってしまうと“現代の人感”が強く出てしまうので、喋り口調や所作など、お芝居の中に制限が生まれる難しさはありました。撮影に入る前に5日間ほど集中的に所作や方言の指導をしていただいて、数週間後にまたブラッシュアップするという期間がありました。でも栃木弁に関しては、イントネーションも含めて喋っていてすごく楽しい言語だなと感じています。

見上愛のたくましい座長ぶりに“感動”

ーーヒロインのりんを演じる見上愛さんの印象はいかがですか?

小林:本当に“たくましい座長”ですね。大変な現場だと思うんですが、僕が行くときは常に現場に笑い声があって、すごく元気で強い子だなというイメージです。栃木ロケがすごく自然豊かな場所で、一度虫刺されの被害があったんですけど、見上さんが翌日には全員分の塗り薬を病院でもらってきて、「これ塗って」って配ってくれたんです。「この年齢でそんな配慮ができるんだ!」と感動しましたし、頼もしかったですね。

ーーお芝居の面で見上さんから刺激を受けた部分はありましたか?

小林:彼女は本当に器用で、スイッチの切り替えがパチンとできる女優さんなんです。同世代としてすごく刺激を受けました。りんが後悔から泣き崩れてしまうシーンがあるのですが、モニターでそのお芝居を見ていて「すごいな……これはいいドラマになるだろうな」と確信しました。

ーー第1週では、そんなりんと虎太郎の幼なじみとしての空気感がとても素敵でした。現場ではお二人でどのように関係性を作っていったのでしょうか。

小林:合間でおしゃべりすることはありましたが、そこまで深く関係を築くことはなかったです。恋愛要素が絡んでいる役ですし、僕のことを深く知られたらやりづらいだろうなと思って……。僕、ちょっとダメダメ人間なんで(笑)。だから、あえてあんまりたくさんは喋らないようにして、台本に従ってお芝居の中で関係を作っていくことを意識していました。

ーー明治時代におけるりんとの身分の差については、どう意識されていましたか?

小林:2人きりでいるときはそこまで意識した距離感ではないんですが、客観的に見たときにはやっぱり身分の差を感じて、どこか引け目を感じていたのかなとは思います。第1週の告白のシーンは、「ちゃんとキュンとさせないといけないのかな」と思いながら現場に入ったんですが、いざやってみると「本当に虎太郎はタイミングが良くないな」と(笑)。行動する日が少し違えば、りんと結ばれていた世界線もあっただろうなともどかしくなりました。不器用ながらに、男らしく覚悟を決めて手を握る緊張感が伝わればいいなと思っています。

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