『未来のムスコ』は“未来”へと受け継がれる“愛”の物語 「だんない」をいつまでも胸に

 2026年1月期、私たちの心をあったかく、そして前向きにさせてくれたドラマといえば、火曜ドラマ『未来のムスコ』(TBS系)を推薦したい。

 同作は、阿相クミコ・黒麦はぢめによる同名漫画を原作とした、時を超えたラブストーリー。夢も仕事も崖っぷちのアラサー女性・汐川未来(志田未来)のもとに、“未来のムスコ”だと名乗る男の子・颯太(天野優)が現れ、奇妙な共同生活が始まるといった物語だ。

 筆者は、第1話を観た段階で「颯太とともに未来の将来のパートナーである”まーくん”を探すこと」、そして「”まーくん”候補たちとの恋愛模様」が描かれていくのではないかと想像した。しかし、最終回まで見届けた今、このドラマは決して恋愛に留まるものではなく、もっと広い意味での“愛”について描かれた作品だったのだと思う。

愛が連鎖していくヒロイン・未来の魅力

 未来というキャラクターは周りを引き上げるようなパワーを秘め、そして周囲の人から愛される存在なのだなと感じた。それを確信に変えたのが、第7話でのこと。未来が映画の長期地方ロケへと行くことになった際に、将生(塩野瑛久)や真(兵頭功海)ら劇団員の仲間、保育士の優太(小瀧望)、友人の沙織(西野七瀬)らが助っ人として颯太の面倒を見るようになる。

 今の時代、誰か1人に託すのではなく、何人かに頼ることができる人というのはそもそも珍しい。そしてそれが成立するのは、「颯太がかわいいから」という理由だけでは成り立たないはずだ。少なくとも「颯太のため、そして未来のため」と、2人が周囲から愛され、信頼される力があってこそだとも思ったのだ。

 たしかに、未来という人物は観ているだけで、こちらもポジティブになれるようなパワーを秘めていた。

 それは第1話で未来という人物を知った時から変わらない印象だ。正直、「俳優という夢を追い続け、隙間バイトで生計を立てる定職なし、貯金なし、彼氏なし」といったスペックだけを見ると、いくらでも悲壮感にフォーカスを当てて描くことはできたのではないかと思う。

 しかし、未来は違った。上手くいかない現実や、決して明るいとはいえない将来を劇団員が不安視する中でも、目の前のことに全力で取り組み、笑顔で周りを勇気づけるような人だ。だからこそ人を惹きつけ、みんなが巻き込まれていったのだろうと納得できる。筆者個人としても「こういうふうに思われる人になりたい」と思わせるほどに好きなキャラクターだったし、彼女を見ていると「愛は連鎖していくものなのだな」とひしひしと伝わってきた。

 そんな未来の周りにいる人物だからかもしれないが、“まーくん”候補である将生、優太、真の3人が、恋のライバルでありながらも決して他人を蹴落としたりすることのないキャラクターであった点も、安心して観ることができたポイントである。個人的には、未来が真と付き合っている時に、元カレである将生が軽率に肩を抱かないところにグッときた。彼らもまた、正々堂々と真摯に未来への愛を伝え続けていた印象だ。

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