『映画 えんとつ町のプペル』続編で光る小芝風花の存在感 ナギの感情が宿った歌声と芝居

 2020年、コロナ禍のさなかに公開された『映画 えんとつ町のプペル』は、夢を語れば笑われ、行動すれば阻まれる世界で、それでも信じることの強さをまっすぐに描いた作品だった。あれから6年を経て届けられた続編『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』が見つめているのは、あの奇跡の夜の先に流れ続けていた時間だ。

 前作で、ルビッチは誰も見たことのない星空を信じ抜き、ついにその目で星を見る。けれどそれは同時に、かけがえのない友——ゴミ人間のプペルとの別れでもあった。本作は、その喪失を抱えたまま人がどう生きていくのかという問いへと歩みを進める。前作のテーマである「信じぬくこと」は今作にも確かに受け継がれている。ただし今回、前作とは異なる角度から胸に迫ってくるのは、大切な人を失った悲しみや切なさだ。

 本作には、ルビッチと猫のモフを中心に進むパートと、時計師・ガスを中心としたルビッチがまったく姿を見せないパートが並走する。なぜこの構造なのかは核心のネタバレに関わるため、ここでは触れないでおく。ただ、鑑賞中は両者の関係がすぐには明かされず、しばらく不思議さが先に立つことだろう。だが、本作が泣ける映画になっているのは、意味が遅れて立ち上がるこの脚本構成の力に負うところが大きく、本作の巧みさはまさにそこにあるということだけは言っておきたい。

 そのガスのパートのキーパーソンとなるのが、小芝風花の演じるナギだ。彼女は出自ゆえの秘密を胸に抱えたキャラクターだが、ガスの前での彼女は明るく天真爛漫で、自分の意見もはっきり言うまっすぐなヒロインである。ナギとガスの関係性がこのパートに与えている濃密さは、独立した一篇の映画と呼びたくなるほどだ。

 実写ドラマのイメージが強い小芝だが、近年は『ツイスターズ』(2024年)や『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』(2024年)など声の仕事にも活動の幅を広げており、後者では長編アニメーション初挑戦にして主人公ヘラ役を務めている。明るさも翳りもあるキャラクターとして、そのどちらの場面でもナギとしての揺るぎない芝居を見せられるのは、小芝の演技の引き出しの広さゆえだろう。

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