『ばけばけ』髙石あかりの好演が作品を底上げする トキが照らした“周囲の人々”のドラマ

 髙石あかりが演じるヒロイン・トキの物語が、そろそろ幕を閉じようとしている。半年にわたって続いてきた朝ドラ『ばけばけ』(NHK総合)は、どのようなラストを迎えるのか。主演の髙石はどのようにゴールをきるのか。この半年間の“トキ=髙石あかり”の歩みを振り返ってみよう。

 本作は、小泉八雲とその妻・セツをモデルにした物語を描くものである。私たちはこのドラマを通して、知られざるふたりの関係とともに、八雲が世界に向けて描いてきた当時の日本の姿に触れてきた。言わずもがなだが、これはあくまでも史実をベースにしたフィクション。髙石と八雲を演じるトミー・バストウのコンビが体現するからこそ、ユニークでチャーミングな物語が展開してきた。

 髙石が「朝ドラ」に出演するのはこれがはじめて。しかもいきなり、ヒロインという大役だ。「朝ドラ」はひとりの人間の生涯を描くもので、主演俳優は長い時間をかけて、他者の人生と向き合っていくこととなる。そこには私たちの知る由もない、大きな困難があるはず。けれどもはじめての「朝ドラ」に、この『ばけばけ』の世界に姿を現した髙石は、すぐさま自身が頼もしい存在であることを、多くの視聴者に印象づけてみせただろう。

 まず何より、髙石が立ち上げたヒロイン像は非常に朗らかだ。彼女のあの弾ける笑顔は、『ばけばけ』の世界の住人たちだけでなく、お茶の間の私たちにも明るさをもたらした。現実世界は気の重くなることばかりだが、髙石の満面の笑みにつられて笑顔になったことは、一度や二度ではない。身に覚えのある方は少なくないだろう。このヒロインの日常を見守っていきたい。物語がはじまってすぐに、視聴者の誰もがそう思ったはずである。

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