実写版『ONE PIECE』S2がもたらす“感動の追体験” 溢れ出す原作愛とファンサービス

 それは、よりフィクションの度合いが強くなるキャラについても言えることだ。たとえばラブーン。偉大なる航路(グランドライン)へと向かう双子岬で待ち受ける巨大なクジラを、キャラとしてのフォルムと生物としての質感を共存させた姿で描いてみせた。リトルガーデンで100年前から決闘を続けて来たドリーとブロギーの巨人族の2人も、その巨大さを激突の迫力ともどもしっかり再現していた。これなら、いつか「エルバフ編」が実写化されても大丈夫だろう。

 そしてトニートニー・チョッパー。トナカイが「ヒトヒトの実」を食べて知性を持ち、二足歩行したり喋ったりするようになったキャラを、モフモフとした毛並みの質感を保ちつつ、マンガ的にデフォルメされた姿でしっかり描いてみせた。

 アクションでは、ロロノア・ゾロがウイスキーピークで繰り広げる100人斬りをどう描くかに注目が集まっていたが、期待通りかそれ以上の凄まじい剣戟を見せてくれた。悪魔の実の能力者たちによる現実離れしたアクションが目立って来る中で、新田真剣佑の肉体と技量が輝いて見える。ハリウッドでのオファーも増えそうだ。

 ドラマとしての見どころも、挙げればきりがないくらいに満載だ。ドラマが初見の人たちにはフレッシュな感動を与え、漫画やアニメでストーリーを知っている人には感動の追体験をもたらすだろう。ひとつ挙げるなら、まだドラム王国が存在していた時代に、銃で撃たれて傷ついていたチョッパーを助けたDr.ヒルルクが、ヤブでありながら医者としての使命に殉じるシーンだ。そのヒルルクの思いが花開く瞬間に、誰もが心打たれるだろう。

 先の先までストーリーを知っている『ONE PIECE』のファンが歓喜するシーンも用意されている。50年にわたってラブーンを見守り続けて来たクロッカスから、ルフィがラブーンの過去を聞かされる際に、原作やアニメではもっと先で描かれることになるルンバー海賊団が登場する。クロッカスの懐古には、船長のヨーキだけでなく、まだ生身だった頃のアフロ頭の音楽家が登場する。日本語版の声優はもちろんチョーだ。

 同様に、はるか先にドレスローザで闘技大会に出場してきた緑色の髪をした海賊が、ローグタウンのチンピラとして早くも登場して、ルフィの暴れっぷりを目の当たりにする。これらが、彼らの本格的な登場まではシリーズを描く覚悟を現したものなら、ファンとして嬉しい限りだが、単なるファンサービスだとしても十分に楽しい。作り手の『ONE PIECE』という作品に対する愛情と理解のたまものなのだから。

 冬島での騒動を経てチョッパーを仲間に加え、向かうはアラバスタ王国。シーズン2のラストで、アニメと同じ大友龍三郎による渋さ炸裂の声だけでなく、堂々とした姿も現したバロックワークスのMr.0。彼とルフィが繰り広げる死闘が今から楽しみだ。シーズン3での登場が予告されているルフィの兄のポートガス・D・エースが、どこまでそっくり度を上げて来てくれているかも気になるところだ。

 ミス・オールサンデーの正体と目的が明かされ、『ONE PIECE』という物語世界の根幹に迫るやりとりが繰り広げられた先にある、シリーズで屈指の感動を誘う出航のシーンが今から待ち遠しい。3年の時を経て濃さを増したように、これからも濃度を高め、尾田栄一郎が生み出した『ONE PIECE』の世界を描き続けてくれるだろう。

■放送情報
Netflix シリーズ『ONE PIECE』
シーズン1&シーズン2独占配信中
出演:イニャキ・ゴドイ、新田真剣佑、エミリー・ラッド、ジェイコブ・ロメロ、タズ・スカイラーほか
原作&エグゼクティブ・プロデューサー:尾田栄一郎
シーズン2 共同ショーランナー・脚本家・製作総指揮:マット・オーウェンズ&ジョー・トレイス
エグゼクティブ・プロデューサー:尾田栄一郎、マーティ・アデルスタイン、ベッキー・クレメンツ(トゥモロー・スタジオ)、藤村哲哉、クリス・シムズ、スティーヴン・マエダ
©尾田栄一郎/集英社

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