重厚な社会派『東京P.D.』が支持を広げる理由 “硬質な芝居”と骨太な人間ドラマ

 今期のドラマの大半が折り返しを過ぎたところ。一人ひとりの視聴者にとっての“極私的名作ドラマ”も見つかってきているのではないだろうか。これは今期に限ったことではないのだが、ユニークな刑事ドラマが多数登場している。その中でもとくに今後の展開が気になって仕方がないのが『東京P.D. 警視庁広報2係』(フジテレビ系)だ。硬派な手触りの社会派作品である。

 福士蒼汰が主演を務める本作は、警視庁の広報課を舞台にした物語を力強い筆致で描き出す作品だ。蔵前橋署刑事課に勤める主人公の今泉麟太郎(福士蒼汰)が“広報課”に異動するところからこのドラマははじまった。

 彼は非常に優秀な刑事であり、次の異動で捜査一課への配属を願ってやまなかったが、配属されたのはまさかの広報課。それも異動先は“2係”であり、ここは事件発生時に開かれる記者会見や情報管理の段取り、メディアとの関わりの中で情報のコントロールを試みる部署である。

 本作の情報にはじめて触れた際、「お!」と思った。ドラマ作品としては2015年放送の『64(ロクヨン)』(NHK総合)が、そして映画作品としてはその1年後に公開された『64 -ロクヨン- 前編・後編』が、警察の広報に携わる者たちの活躍を描いている。私たちが彼らの存在に触れることができたのは、この2作を通してくらいのものだろう。先述しているように、何か事件が起きた際にはこの者たちが動き、マスコミが動き、そして私たちの元に情報が届けられる。日常的に関わりのある存在なのに、私たちは広報課の人々のことを何も知らない。だから本作は知られざるその実態に触れることができる、稀有な作品なのだ。

 とはいえ、たんなる“お仕事ドラマ”では、目の肥えた視聴者はついてこない。そもそも、『64(ロクヨン)』/『64 -ロクヨン- 前編・後編』のように「名作」に位置付けられている作品がすでに存在する。そこで本作は、“硬派な手触りの社会派作品”に振り切っているわけだ。原案者であり、企画・プロデュースを手がけている安永英樹は、警視庁の担当記者経験の持ち主。だからなのか、このドラマには強固なリアリティがある。もちろん、“広報課のリアル”について私は知らない。けれども“2係”の一挙手一投足やマスコミサイドとのやり取りには、ドラマならではのフィクション然とした展開は排されているように感じる。登場人物たちの感情の流れもリアルだ。

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