興収で読む北米映画トレンド
マーゴット・ロビー主演『嵐が丘』賛否両論も北米No.1 『クライム101』など話題作が混戦
2月16日(月曜日)はアメリカにおける祝日のひとつ、プレジデントデー。おまけにバレンタインデーも重なったこの4連休は、映画業界にとって今年絶好の稼ぎ時となった。
北米の週末映画ランキング(2月13日~15日)は、マーゴット・ロビー主演『嵐が丘』が初登場No.1を獲得。週末3日間で3480万ドル、月曜日を含む4日間では4000万ドルを記録する見込みだ(現在の数字は速報値のため、確定時点で変化が生じる可能性が高い)。
本作は、エミリー・ブロンテの名作文学を『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年)のエメラルド・フェネル監督が新解釈で映画化。イギリス・ヨークシャーにある高台「嵐が丘」にたたずむアーンショウ家の令嬢キャサリンと、そこで育てられた孤児ヒースクリフは激しく愛し合うが、ふたりの運命は身分や境遇、時代の渦に巻き込まれていく……。
『嵐が丘』は、『フィフティ・シェイズ』シリーズなどに代表される“バレンタインのラブストーリー映画”として女性観客の注目を獲得。週末に映画館へ足を運んだ観客のうち、実に75%以上が女性だったほか、若年層に訴求する広報戦略も奏功し、年代別では18歳~34歳が全体の半分以上を占めた。
もともと本作にはNetflixが1億5000万ドルという巨額を提示していたが、フェネル監督&ロビーらプロデューサー陣はこれを拒否し、ワーナー・ブラザースによる8000万ドルのオファーを承諾。配信リリースと小規模な劇場公開ではなく、全世界での拡大公開とプロモーションを希望した形だ。
この選択はひとまず正解だったと言えるかもしれない。北米興収は事前に予想された5000万ドルを下回っており、速報値とは裏腹に4日間で3500~4000万ドル程度に落ち着くとの予測もあるが、海外76市場では4200万ドルを記録。全世界興行収入は8200万ドルと、決して悪くない成績となった。
その一方、興行的なポテンシャルがいまだ読めないことも事実だ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア62%・観客スコア80%、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B」評価と賛否両論。口コミ効果にも影響が出るかもしれない。
ただし、Netflixによる買収が発表されたワーナー・ブラザース――パラマウント・ピクチャーズとの買収交渉を再開する可能性もあるという――は、現在のハリウッドで野心的なプロジェクトをいくつも成功に導いてきた数少ないスタジオだ。アカデミー賞の有力候補『ワン・バトル・アフター・アナザー』や『罪人たち』、話題作『WEAPONS/ウェポンズ』などを思い出せば、『嵐が丘』も性急な判断は禁物だろう。日本では2月27日公開。
第2位に初登場したのは、オリジナルアニメーション映画『GOAT(原題)』。いまや、『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズや『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(2025年)で名門スタジオとなったソニー・ピクチャーズ・アニメーションの最新作だ。
本作は、小さな身体のヤギ・ウィルが、一生に一度のチャンスをつかみ、獰猛な動物たちが活躍する「ロアボール」(バスケットボールそっくりのスポーツだ)に挑戦するストーリー。NBA選手のステフィン・カリーがプロデューサーを務めた。
週末興行収入は3日間で2600万ドル、4日間で3200万ドルを記録する見込み。ことによっては『嵐が丘』と接戦になりうる好調ぶりだ。海外42市場では1560万ドルを稼ぎ、全世界興行収入は4760万ドルとなった。
この成績はオリジナルアニメーション作品として、ディズニー&ピクサー映画『マイ・エレメント』(2023年)以来の好スタート。Rotten Tomatoesでは批評家80%・観客92%、CinemaScoreでは今週の新作で唯一の「A」評価を得ているほか、ディズニー&ピクサー最新作『私がビーバーになる時』の登場まではライバル不在とあって今後にも期待が持てる。日本公開は未定(!)。