上田麗奈「今のほうがギギのことを考えているかも」 『閃光のハサウェイ』第2章の葛藤明かす
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』シリーズ第2章にあたる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』では、ギギ・アンダルシアというキャラクターが新たな局面に立たされている。ギギ役の上田麗奈は、第1章で感じていた他者を見透かすような余裕や万能感が、今作では揺らいでいったと語る。迷い、立ち止まり、自分の人生を振り返るような感覚——上田自身の言葉を借りれば、そこには“普通の女の子”としてのギギが立ち上がってきたという。
細かく積み重ねられたディレクションのもとで、セリフ同士が必ずしも「線」として繋がらず、「点」のまま存在していったという実感。その戸惑いも含めて上田は、『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』におけるギギ像と向き合っていった。本インタビューでは彼女の演技のプロセスを手がかりに、ギギが抱え込んだ揺らぎと、その表現の手触りを掘り下げていく。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
ギギに感じた変化
——今作のギギは基本的にケネスと行動しており、ハサウェイとの距離感で言うと第1章とは変化があると思います。演じていてギギの中に変化を感じたところはありましたか?
上田麗奈(以下、上田):ギギの人生にはハサウェイと出会って受けた刺激による変化があったかなと思います。「伯爵の下で生きていくしかない」と自分の人生に諦めを持っていたギギが、あらゆることが諦められずにもがいているハサウェイと出会い「自分の人生はこれでいいんだろうか」と、一度立ち止まってみるのが第2章だったのかなと……。第1章のギギは何でも見透かしているような、他人のことを手のひらの上で転がせるような余裕があって、万能感や怖さを感じさせる印象があったと思うんです。でも第2章では、自分のことを振り返って、自分の人生について一度立ち止まって考えているように感じました。より等身大の、“普通の女の子”としての一面が見えてきた印象があります。だから「ギギってこういう子だっけ……?」と戸惑いながら台本を読んでいた記憶があります。
——そういった戸惑いは役作りにも表れているのでしょうか?
上田:今回は一つひとつのセリフを何パターンも収録するくらいディレクションをたくさんしていただいたので、私が悩む以上に、一つひとつ監督のイメージに近づけるよう必死で演じていました。でもギギの心の変化をとらえるのはやっぱり難しくて……、私はセリフとセリフが、点と点が線で繋がるように意識して演じていこうと思っていたんですが、ディレクションをしていただくなかで、線で繋がらずに点と点のまま完成していくこともあって。あるシーンと別のシーンとの繋がりもそうだし、一つ前のセリフといま話したセリフとの繋がりという意味でも……。
——そこまで細かく捉えているんですね……!
上田:「繋がっているように聞こえないかも」と不安になることもあったんですが、それ以上に村瀬(修功)監督のイメージに信頼があって、「自分の中では今は繋がらなくても、きっと監督の中では繋がるものがあって完成していくんだろうな」と思いながらアフレコしていました。村瀬監督を信じて応える必死さと、自分が想像していたものから変化していく新鮮さ、いろいろな情報量の多さゆえの漠然とした不安みたいなものを抱えながらも、軌道修正しながら作り上げていきました。
——特に試行錯誤したセリフはありますか?
上田:一番最初の、「ハサウェイ・ノアちゃんか……」からもう難しくて……。「ハサウェイ・ノア“ちゃん”か……」と、なんでここでハサウェイの名前をつぶやいたのか、この表情にどんな意味があるのか、どんな気持ちなのか……。ディレクションでは「淡々と」という指示が至るところであったのですが、それはギギ本人でもわからない思いが出ているから「淡々と」なのか、それとも何の感情もなくという意味なのか。……もしかしたら今のほうがギギのことを考えているかもしれないです。
——ギギが“普通の女の子っぽい”というのはどうしてそう思えたのか、具体的にそう感じたシーンなどはありますか?
上田:具体的なセリフや行動は上手く思い出せなくて申し訳ないのですが……、第2章全体を通して他のキャラクターとの距離感だったり、元気がない印象だったり、“装備”を全部剥がされて、声の芯が消えて弱くなっている感じがあったんです。第2章の大部分がそうで、第1章のギギはヒールを履いていたけど、第2章では裸足になって感触を確かめているような……。ヒールを履いているときは体幹やお腹に自然と力が入って、背筋が伸びて目線もパキッとした強い印象がありますが、裸足になると、ちょっと底が抜けて強さが減る。実際、ヒールを履き慣れた後に裸足になると、すごく変な感じがするんです。その手探りな感じが声にも出てきて「あれ、普通の女の子に聞こえるな」「普通に悩むこともあるんだな……」と。その時々の正解を選んでいるから、直感は鈍ってないし、行動は正解なんです。たぶんギギ自身は自覚していないと思うんですけど……。全部が終わった後に「私悩んでたんだ」と感じるタイプだと思います。