齋藤飛鳥が明かす、声芝居につながった歌とダンスの経験 「確実に身体に染みついている」
実写のお芝居でも「息のお芝居」は確実にある
――逆に、今回の経験が実写のお芝居にも活かせそうだと感じたことはありましたか?
齋藤:高橋(文哉)さんと一緒にアフレコさせていただいたシーンがいくつかあるのですが、完成した映像を観ていて思ったのが、「息の使い方が本当に上手だな」ということでした。声を出すほどではない動作や感情のときにも、すごく繊細に息を使っていらっしゃって。声優さんにとっては特に大事な要素なのかもしれませんが、実写のお芝居でも「息のお芝居」は確実にあると思うので、これは活かせるなと思って、すごく観察していました。
――いまお話に出た高橋文哉さんですが、改めて玲斗を演じる姿を間近で見ていて、どんな印象を受けましたか?
齋藤:高橋さんは、スタジオで聴いていても本当に玲斗そのものという感じでしたし、何より真面目さがすごく伝わってきました。台本もかなり使い込まれていて、「ここまで読み込んできたんだな」というのが一目で分かるくらいで。皆さん台本を持ちながら収録するんですけど、高橋さんはあまり台本に目を落とすことなく、ずっと映像を観ながら演じていらっしゃって。相当準備してきたんだろうな、と感じました。先にアフレコに入られていたのですが、現場の空気もすごく和やかでしたし、本当に役にぴったりで、とても優しい方でした。
――齋藤さんはアーティストとしての経験もお持ちですが、ご自身ならではの呼吸のリズムはありますか?
齋藤:ないです(笑)。でも以前、共演した方に「歌やダンスをやっているんだから、それをお芝居に活かしたほうがいいよ」と言っていただいたことがあって。そのときは初めていただいたアドバイスにハッとして、「確かに!」と思っているうちに詳しいコツなんかは聞きそびれてしまって。でも、今回声のお芝居をやってみて、ああ、こういうことだったのかもしれないな、と思いました。歌うときの息継ぎや、ダンスしているときのリズム感は、確実に身体に染みついているものなので、「このリズムかな」「この息の吐き方かな」と、なんとなくですが分かった気がします。
――天海祐希さんともアフレコで一緒になるタイミングがあったと伺っています。実際に現場でお話しされてみて、いかがでしたか?
齋藤:天海さんと実際にお会いできた時に、「声優に挑戦して、参加できてよかった」と思いました。まず、もちろん声のお芝居が本当に素晴らしくて、スタジオで聴いていても圧倒されてしまいました。同じ空間でその声を聴けたこと自体が、すごく光栄だったなと思います。それから、アフレコの現場では皆さん結構ラフな格好をされていたんですが、天海さんのラフな姿って、なかなか見られるものじゃないじゃないですか。後ろから、声を当てている天海さんの姿を見ながら、「こんな貴重な光景はないな」と思って、目に焼き付けちゃいました。天海さんはとっても優しい方で、ほんの少ししか時間を過ごしていないのに、こんな人間になりたい、ともう思ってしまいました。すっかり大好きです。
――「誰かのために預念する」「思いを受念する」というテーマについて、齋藤さんご自身はどのように受け止めましたか?
齋藤:この作品は一見ファンタジーに見えるかもしれないですが、実際は全然そんなことはなくて。「願い」や「祈り」という言葉は、少し現実から離れた印象を持たれがちだと思いますが、むしろすごく東野さんらしい、地に足の着いた物語だなと感じました。登場人物たちも、千舟さんや玲斗の不器用ながらもまっすぐ進んでいく姿も、優美やお父さん、壮貴の家族のために動く姿、それからヤナッツコーポレーションの関係者たちも、一見すると少し意地悪に見えるけれど、どこか愛情深さを感じさせる描かれ方をしていて。この物語全体に、「愛情」が静かに漂っているような感覚があるんです。この作品を観ると、誰かに感謝を伝えることの大切さを改めて感じますし、言葉にできなくても、想うだけでも意味があるんじゃないか、そんなふうに思わせてくれる作品だと思いました。
――もしクスノキを通して誰かに思いを「預念」できるとしたら、したいですか?
齋藤:私は預念する側にはなりたくないですね(笑)。全部分かってしまうので、リスクが大きすぎるかも。作中のセリフにもありますが、伝えたくないことまで伝わってしまうのが、やっぱり怖いなと思って。でも、そういうリスクがないと、本当に伝わるものも伝わらないんだろうなとも思うんですけど……。受け取る側なら、ちょっと体験してみたいです(笑)。
――今後、声優として新たな挑戦をするとしたら、今回のような人間の女の子役以外で、やってみたい役柄やキャラクターはありますか?
齋藤:この作品に出てきたフクロウ(コノハズク)がかわいくて……。ああいう役はやってみたいです。
■公開情報
『クスノキの番人』
公開中
出演:高橋文哉、天海祐希、齋藤飛鳥、宮世琉弥、大沢たかお、津田健次郎、杉田智和、八代拓、上田麗奈、飛田展男
原作:東野圭吾『クスノキの番人』(実業之日本社文庫刊)
監督:伊藤智彦
脚本:岸本卓
キャラクターデザイン:山口つばさ、板垣彰子
美術監督:滝口比呂志
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会
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