『28年後... 白骨の神殿』は驚くべき内容に 前作とはトーンが変化した物語の衝撃

 ダニー・ボイルが監督を務め、脚本にアレックス・ガーランド、キリアン・マーフィーが主演した、2002年公開のポストアポカリプス映画『28日後...』。続編の『28週後...』(2007年)を経て、じつに18年のブランクの後に公開されたのが、新たなシリーズの幕開けとなった『28年後...』(2025年)だった。

 「レイジウイルス」の爆発的な感染で人々が凶暴化する大惨事によってイギリスの文明が終わり、感染を逃れたわずかな人々の28年後の物語を描いていく、新たな『28年後...』シリーズは、3部作構成になるという。第一作は、かつてと同じようにダニー・ボイルが監督を務め、脚本をアレックス・ガーランドが書いていた点が、ファンには嬉しいところだった。

『28年後...』が試みた“視点”による作品世界の再構築 ゾンビ映画に持ち込まれた現実の問題

ダニー・ボイル監督、アレックス・ガーランドのコンビが2002年に提示した、イギリスの恐慌状態を映し出す極限的なパニック映画にして…

 この度公開された、新シリーズ第2作『28年後... 白骨の神殿』では、引き続いてガーランドの書いた物語が描かれるも、監督は2021年版の『キャンディマン』や『マーベルズ』(2023年)を手がけ、映像センスと哲学性を両立する新鋭ニア・ダコスタが務めている。だが、オリジナル監督が交代した3作のうちの真ん中に過ぎないと思って油断していると、しっぺ返しをくうことになるかもしれない。その内容は、ある意味驚くべきものだったのである。

 ここでは、そんな本作『28年後... 白骨の神殿』の、どこが衝撃的だったのか、いったい何を描いていたのかを、さまざまな角度から深掘りしていきたい。

※本記事では、映画『28年後... 白骨の神殿』のストーリーの核心部分についての記述があります

 まず意外なのは、物語のトーンが明らかに変化したという点だ。第1作では、レイジウイルスの影響で文明が崩壊したイギリスが描かれた。諸外国との繋がりが途絶えて荒廃し、エネルギーなどのインフラが存在しない国の現状と、ほとんど中世のような生活が営まれているコミュニティの様子が描かれた。

 ここで暗示されていたのは、現実のイギリスの状況だ。アレックス・ガーランドが、本シリーズにおいて「ブレグジット」(EU離脱)の影響に言及しているように、ここでの孤立した島国の様子は、排外的で内向きな社会が継続していった先のイギリスの未来を暗示しているように見える。これは、日本を含めた多くの国で持ち上がってきている共通の問題であるといえるだろう。

 そこで生まれた、崩壊前の社会を知らない世代の少年・スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)は、大人になるための通過儀礼として、感染者を獲物にした命がけの狩りや探索をおこなうことになる。しかし少年を真に成長させたのは、両親との関係の変化や、医師ケルソン(レイフ・ファインズ)が与える知識や哲学との出会いだった。

 スパイクは、コミュニティや抑圧的な父親の影響から逃れ、一人だけで感染者たちが徘徊する危険なフィールドを歩み出した。そんなスパイクの前に現れたのは、ブロンドのウィッグを装着し、トラックジャケットを着た、若者たちの暴力的な集団「ジミーズ」だった。彼らをまとめるのは、子どもの頃にパンデミックの混乱を生き延びたジミー・クリスタル(ジャック・オコンネル)だ。

 本作は、スパイクがジミーズに捕らえられ、強制的に儀式を受けさせられるシチュエーションから始まる。その儀式とは、ジミーズのメンバーの一人と殺し合うといったもの。勝った方が一員として生き残れるのだ。まだ力が弱いスパイクは劣勢に立たされるものの、運が味方して命拾いすることとなる。しかしジミーズとして生きることもまた、地獄だったのである。

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