興収で読む北米映画トレンド
アメリカを記録的寒波が襲う、劇場400館が休業 週末No.1は『MERCY/マーシー AI裁判』
日本各地で寒波と大雪の影響がみられた週末、アメリカも歴史的寒波に襲われた。北東端のメイン州から南端のテキサス州まで、じつに37州もの広い範囲で暴風雪警報や極寒警報などが発令され、日曜日には24州で緊急事態宣言も出されたのだ。多くの地域で、住民に不要不急の外出を控えるよう勧告もなされた。
土曜日からは停電のため、全米各地の映画館が営業停止を余儀なくされ、400館以上が休業。全米最大の映画館チェーン・AMC Theatresも59館で営業を見合わせ、その他のシネコンも天候のため休業や営業縮小の対応を取っている。
こうした影響ゆえ、1月23日~25日の北米映画市場の週末興行収入は累計およそ6000万ドル。今年に入ってから最低の水準で、前年の成績をはじめて下回った(前年比マイナス9%)。もっとも、これは手の打ちようがない不測の事態だ。
週末ランキングの第1位は、クリス・プラット主演『MERCY/マーシー AI裁判』。5週連続No.1だった『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』から首位の座を奪った。3日間の興行収入は1110万ドルで、事前の予測値1200万ドルをやや下回ったものの、大雪の影響を考慮すると下げ幅は小さい。
本作は近未来を舞台に、プラット演じる刑事レイヴンが、妻殺害の容疑で“AI裁判”にかけられるサスペンススリラー。冤罪を晴らすため、レイヴンは世界中のデータベースから証拠を集め、90分以内に無実を証明しなければならない。監督は『search/サーチ』(2018年)のプロデューサーであるティムール・ベクマンベトフ。
『MERCY/マーシー』の初動成績はまずまずだ。意外にもプラットにとって、オリジナル脚本の主演映画が劇場公開されるのは今回が初めて。ジェラルド・バトラー主演『Greenland 2: Migration(原題)』を上回り、マーク・ウォールバーグ主演『フライト・リスク』(2025年)と同等の滑り出しとなった。
海外80市場(ソニー・ピクチャーズ配給)では興行収入1160万ドルで、全世界興行収入は2270万ドル。確かに劇場興行としては渋めの数字だが、ポイントはこの映画がAmazon作品であること。劇場上映はPrime Videoのプロモーションという位置づけで、広報・宣伝費などを回収できれば特段大きな問題はないといわれる。
批評家と観客の評価はまっぷたつに分かれており、Rotten Tomatoesでは批評家スコア21%に対し、観客スコアは82%。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreは「B-」評価となった。日本の映画ファンから熱い支持を受けているところも興味深い。