ホン・サンス監督による全編ピンボケ映画 『水の中で』予告編&キービジュアル公開
2026年1月10日よりユーロスペースほかにて全国順次公開されるホン・サンス監督作『水の中で』のキービジュアルと予告編、場面写真が公開された。
ホン・サンス監督のデビュー30周年を記念した特集『月刊ホン・サンス』では、2025年11月から2026年3月までの5カ月間、ホン・サンス監督の新作を毎月公開中。本作はその第3弾として公開される。
本作は、ホン・サンス監督のフィルモグラフィの中でも、とりわけ特異な一本で、第73回ベルリン国際映画祭では、上映前に「これからかかる映画は決して映写ミスではない」と事前アナウンスが入るほど。“全編ピンボケ”の映像表現がなされており、出演者たちの顔の判別が難しいほど焦点の甘い映像が延々と続いている。今回の日本での上映における映倫審査でも、「これは素材の不備ではなく、意図された映像なのか」と審査員を悩ませたという。
大学卒業後、俳優業に専念していた青年ソンモは、自主制作で短編映画を監督しようと決意する。かつての同級生ふたりを連れ、リゾート地として知られる済州島へ向かうが、思うようにシナリオは書けず、煩悶しながら海辺を散策していた。そんな折、ひとりの女性との出会いをきっかけに、語るべき物語を見出す。やがて、海辺での撮影が静かに始まる。
青年ソンモを『逃げた女』にも出演したシン・ソクホが務め、ソンモの友人を『あなたの顔の前に』のハ・ソングク、後輩を『旅人の必需品』にも出演しているキム・スンユンがそれぞれ演じる。
公開されたキービジュアルは、海に向かっていくソンモ(シン・ソクホ)の後ろ姿を捉えたもの。「ぼやけたままでいい」というコピーが示すとおり、迷いや葛藤を抱えながらも前に進もうとする青年の姿を静かに肯定するような、余韻を湛えたビジュアルとなっている。さらに、場面写真では、主人公の青年ソンモ、大学時代の友人で今は映画製作会社で働くサングク(ハ・ソングク)と、後輩のナミ(キム・スンユン)の姿が捉えられている。
あわせて公開された予告編は、映画を作ろうと試行錯誤する青年3人の姿が“全編ピンボケ”で捉えられている。
一部劇場では新作にリンクしたテーマで過去作を振り返る特集『別冊ホン・サンス』も開催中。本作の姉妹作ともいえる、モラトリアム期の青年をめぐる瑞々しい物語でシン・ソクホが主演を務めた青春ドラマ『イントロダクション』が上映される。なお、『月刊ホン・サンス』では12月13日からは、第2弾としてキム・ミニ主演作『小川のほとりで』と、『別冊ホン・サンス』としてヒット作『逃げた女』が上映される。
■公開情報
『水の中で』
2026年1月10日(土)公開
出演:シン・ソクホ、ハ・ソングク、キム・スンユン
脚本・監督・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
配給:ミモザフィルムズ
協力:ビターズ・エンド、JAIHO、クレストインターナショナル
2023年/韓国/韓国語/61分/カラー/ステレオ/16:9/英題:In Water/字幕:根本理恵
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公式サイト:https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/