原作・早見和真は『ザ・ロイヤルファミリー』をどう評価? 「妻夫木さんは栗須さんそのもの」

 TBS系にて毎週日曜21時から放送中の日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の原作者・早見和真のインタビューコメントが公開された。

 本作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見の同名小説『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)を原作とした、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語。脚本は喜安浩平、演出は塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介が担当している。

 主演の妻夫木聡をはじめ、佐藤浩市、目黒蓮、松本若菜、沢村一樹、黒木瞳、小泉孝太郎、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠らがキャストに名を連ねている。

 物語も中盤に入り、第6話では、病魔に襲われた馬主・山王耕造(佐藤浩市)や、耕造を支える秘書・栗須栄治(妻夫木聡)をはじめとするチームが、ロイヤルホープの「最後」のレースとなる有馬記念に挑んだ。

 2017年に早見が連載を始めた同作は、8年以上の時を経てドラマ化。ここまでの放送を振り返って、早見は「日曜劇場って、すごいなと思いました。これまでも自分の作品で映画化やドラマ化の経験はありましたが、こんなにたくさんの方から連絡をもらい、『良かった』という声が一斉に集まったことは初めてです。改めて、テレビの持つ可能性を感じました」と語った。

 早見は、「企画が立ち上がった当初から、制作スタッフの皆さんには、『“自然の中に馬がいる”という画さえ撮ってもらえれば、それだけで感動できる』と伝えていた」ということを明かしつつ、その方法が“ワンパターン”でないことに感動したと言う。特に印象的だったのは第2話のラストだそうで、「競馬場の急坂を映す時に、画面いっぱい緑になるんですよ。その緑の壁の向こうからロイヤルイザーニャが現れた瞬間、『やられたな』と痺れました」と熱弁を振るった。

 主人公・栗須栄治を演じている妻夫木については「妻夫木さんは、僕の知る中で数少ない“作品に全力でベットできる人”。座長として作品の真ん中に立ちながら、みんなの思いを背負い、みんなが輝くことを本気で信じている。そして作品が輝けばみんな幸せになれると、それを疑わない人なんです」と全幅の信頼を置いていることを述べ、「僕が感じている妻夫木さんの人柄は栗須さんそのもの」と語った。

 山王耕造を演じる佐藤については「耕造という人物に“品”と“生々しさ”が同居した気がしました。もし別の方が演じていたら、あの“昭和感”がコミカルになりすぎていたかもしれません。浩市さんの塩梅は本当に完璧だと感じています」と太鼓判。

 目黒が演じる耕一も「実想像をはるかに超えていました」と驚き、「僕が小説で書きたかった耕一という人物の屈託のなさと、かすかな影。その両方が彼に宿っていて、まさに体現してくれているなと思います」と明かしている。

 最後に、早見は「第7話の撮影を北海道ロケで終えた時、塚原さんと妻夫木さんから連絡がありました。妻夫木さんからは加えて『7話は神回です』と書かれていたんです。僕も脚本を全て読んだ段階で、最終回とこの7話が飛び抜けて好きでした。なので、まだこの『ザ・ロイヤルファミリー』をご覧になっていない方は、7話の前にぜひ1話から6話まで見ていただきたいです」とメッセージを寄せた。

原作者・早見和真 コメント

ここまでの放送を振り返って、気づいたことなど

日曜劇場って、すごいなと思いました。これまでも自分の作品で映画化やドラマ化の経験はありましたが、こんなにたくさんの方から連絡をもらい、「良かった」という声が一斉に集まったことは初めてです。改めて、テレビの持つ可能性を感じました。
同じ時間にみんなが“せーの”で同じものを見て、感想が一気に湧き上がる。この感覚はテレビならではだな、と。正直、ちょっと衝撃的でした。

特に目を奪われたシーン

企画が立ち上がった当初から、制作スタッフの皆さんには、「“自然の中に馬がいる”という画さえ撮ってもらえれば、それだけで感動できる」と伝えていました。その期待をはるかに超えて、映像として切り取ってくださっています。
しかもワンパターンじゃないんです。北海道・日高地方の風景や昆布漁のシーンにも心を動かされました。小説ではどうしても表現できないものを、映像の力で見せつけられた感覚です。
もう少し突っ込むと、競馬好きからすると「こんなカットで馬を撮るんだ」と驚く場面がいくつもあります。もともと競馬に詳しいほうではなかったという塚原(あゆ子)監督だからこそ、撮れる映像なんだろうなと思います。
特に印象的だったのは第 2 話のラスト。競馬場の急坂を映す時に、画面いっぱい緑になるんですよ。最初に映像を見た時、「飛んだのか?」と思ったくらい。でもその緑の壁の向こうからロイヤルイザーニャが現れた瞬間、「やられたな」と痺れました。

主人公・栗須栄治を演じる妻夫木聡について

妻夫木さんとご一緒するのは今回で 3 度目になります。
役者という世界はどうしても「自分がどう見られるか」「どう輝くか」を考えるもの。セルフプロデュースという意味で、当然それは正しいことだと思っています。その上で、妻夫木さんは、僕の知る中で数少ない“作品に全力でベットできる人”。座長として作品の真ん中に立ちながら、みんなの思いを背負い、みんなが輝くことを本気で信じている。そして作品が輝けばみんな幸せになれると、それを疑わない人なんです。
僕が感じている妻夫木さんの人柄は栗須さんそのもので。みんなの中心に立ちながらも、人のために動ける。そして、1頭の馬が勝てばみんなが幸せになると思える人なんです。なので、栗須役の候補として妻夫木さんの名前を見た時に、「原作者権限とかじゃないですけど」と前置きした上で、「可能ならぜひ」とお伝えさせていただきました。

そのほかの俳優陣について

馬主である山王耕造については、佐藤浩市さんが演じることで、耕造という人物に“品”と“生々しさ”が同居した気がしました。もし別の方が演じていたら、あの“昭和感”がコミカルになりすぎていたかもしれません。浩市さんの塩梅は本当に完璧だと感じています。

耕造の隠し子である中条耕一を演じている目黒蓮さんについては、顔合わせの時点ですぐに「思いを背負える人だ」と感じ、簡単に委ねることができました。
実際に目黒さん演じる耕一の姿を見てみると、想像をはるかに超えていました。僕が小説で書きたかった耕一という人物の屈託のなさと、かすかな影。その両方が彼に宿っていて、まさに体現してくれているなと思います。

栗須の元恋人で、生産牧場を経営する野崎加奈子を演じる松本若菜さんも、あんなに美しいのに、どこか“田舎臭さ”がある。牧場でのシーンより、むしろ横浜の夜景をバックにするときなどにそう感じることが多く、役者さんってすごいなぁと感心させられます。

騎手の佐木隆二郎役の高杉真宙くんはふらふらして見えても、体幹がしっかりしている感じがまさに騎手っぽいなと。

自分の原作の時は、より厳しく見てしまうのですが、今回は心から「幸せだな」と思えるくらい本当に全員がこの作品に向き合ってくれているんだと伝わってきます。

視聴者へのメッセージ

第7話の撮影を北海道ロケで終えた時、塚原さんと妻夫木さんから連絡がありました。妻夫木さんからは加えて「7話は神回です」と書かれていたんです。僕も脚本を全て読んだ段階で、最終回とこの7話が飛び抜けて好きでした。
なので、この記事に触れた人でまだこの『ザ・ロイヤルファミリー』をご覧になっていない方は、7話の前にぜひ1話から6話まで見ていただきたいです。そして、すでにご覧になっている方も、第7話の放送前にもう一度おさらいすると、きっとより深く楽しめると思います。

日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』

早見和真の同名小説をドラマ化。税理士としての挫折を味わい希望を見出せなくなってしまった主人公の人生が、馬主である山王耕造との出会いにより大きく動き出していく。

■放送情報
日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、目黒蓮、松本若菜、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠、木場勝己、中川大志、関水渚、市原匠悟、長内映里香、秋山寛貴(ハナコ)、小泉孝太郎、黒木瞳、沢村一樹、佐藤浩市
原作:早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)
脚本:喜安浩平
音楽:横山克
主題歌:玉置浩二「ファンファーレ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
演出:塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介
編成:佐久間晃嗣、中野翔貴
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/
公式X(旧Twitter):@royalfamily_tbs
公式Instagram:royalfamily_tbs
公式TikTok:@royalfamily_tbs

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