【本日地上波放送】『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』は何度観ても“再発見”できる!

 特に印象的なのは、大失敗の後でも「まあいいだろう! 僕は頑張った!」と前向きに振り返れるジャックの強さだ。多くの人なら挫折に打ちのめされるところを、経験として受け止め、むしろそこから新たな気づきを得ていく。本作が私たちに突きつけているのは、「失敗を恐れて何もしない人生と、失敗してでも挑戦する人生、どちらが本当に豊かなのか」という根源的な問いなのかもしれない。

 そんな深遠なメッセージを、独特の映像美で包み込んだのが本作の魅力でもある。ティム・バートンが紡いだダークでロマンティックな原案を、ヘンリー・セリック監督がストップモーション・アニメーションとして見事に映像化。1秒間の映像を作るために24回、人形を少しずつ動かして撮影するという、気の遠くなるような地道な作業の積み重ねが、CGでは表現できない独特の質感を生み出している。デジタル技術が発展した今だからこそ、その手作り感の価値はより一層際立つのかもしれない。

 ダニー・エルフマンが作った音楽も素晴らしい。「ハロウィーン・タウンへようこそ」の不気味ながら楽しげな雰囲気、「これは何だ?」の無邪気な驚き、「ジャックの嘆き」の切なさ。どの曲も一度聴いたら忘れられない印象的なメロディだ。日本語吹替版では市村正親がジャックの歌声を担当し、その表現力豊かな歌唱も大きな見どころとなっている。オリジナル版ではエルフマン自身がジャックの歌声を担当しているので、機会があれば両方を聴き比べてみるのも楽しいだろう。

 年を重ねるごとに、ジャックの悩みや葛藤が違った角度から理解できるようになる『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』。初めて観る人はもちろん、何度も観た人も、きっと新しい発見があるはずだ。ハロウィンという特別な夜に、ジャック・スケリントンの冒険に身を委ね、いつもの日常をちょっと違う角度から眺めてみてはどうだろうか。

■放送情報
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』
※本編ノーカット
日本テレビ系にて、10月31日(金)21:00〜23:04放送
原案・キャラクター設定:ティム・バートン
監督:ヘンリー・セリック
脚本:キャロライン・トンプソン
製作:ティム・バートン、デニーズ・ディ・ノービ
音楽作詞・作曲&オリジナル・スコア:ダニー・エルフマン
声の出演:市村正親(クリス・サランドン/歌:ダニー・エルフマン)、土居裕子(キャサリン・オハラ)、三ツ矢雄二(ウィリアム・ヒッキー)、大平透(グレン・シャディックス)、園岡新太郎(ポール・ルーベンス)、土居裕子 (キャサリン・オハラ)、松沢重雄(ダニー・エルフマン)、小林アトム(ケン・ペイジ)、永江智明(エド・アイヴォリー)
©2025 Disney

『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』(2013年)
※地上波初放送・本編ノーカット
監督:アンガス・マクレーン
製作:ガリン・サスマン
製作総指揮:ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン
声の出演:所ジョージ(ティム・アレン)、唐沢寿明(トム・ハンクス)、日下由美(ジョーン・キューザック)、辻萬長(ドン・リックルズ)、三ツ矢雄二(ウォーレス・ショーン)、落合弘治(ティモシー・ダルトン)、許綾香(クリスティン・シャール)、三宅健太(カール・ウェザース)、北川勝博(クリスチャン・ローマン)、藤巻杏慈(エミリー・ハーン)、堀越真己(ロリ・アラン)、吉見一豊(スティーヴン・トボロウスキー)
©2025 Pixar

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