北田祥一郎×波岡一喜が太鼓判! 『牙狼<GARO> TAIGA』は「面白いと断言できる」

 2005年のテレビドラマ放送開始以来、ダークで独創的な世界観とVFX技術を駆使したアクションで多くのファンを魅了し続ける雨宮慶太監督が手掛ける『牙狼<GARO>』シリーズ。2025年に20周年という節目を迎えるにあたり、シリーズの原点ともいえる黄金騎士ガロ/冴島鋼牙の父・冴島大河の若き日の戦いを描く劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』が公開されている。

 本作で、若き黄金騎士ガロ=冴島大河という大役を射止めたのは、今作が本格的な俳優デビューとなる新星・北田祥一郎。そして、風の力を操る聖獣・白虎を演じるのは、数々の映画やドラマで唯一無二の存在感を放ち続ける波岡一喜だ。

 読み合わせでの衝撃的なエピソード、歴史あるシリーズの主演を担うプレッシャー、そして「面白くなければ苦情は俺が受け付ける」とまで断言する波岡の言葉の真意とは。撮影の舞台裏をたっぷりと語ってもらった。

雨宮慶太監督への絶対的な信頼

(左から)北田祥一郎、波岡一喜

――波岡さんにお話をお聞きするのは、約10年前のNetflixドラマ『火花』以来となります。

ドラマ『火花』インタビュー:林遣都 × 波岡一喜が語る、表現を仕事にする苦楽

ピースの又吉直樹による同名小説を原作としたドラマ『火花』が、オンラインストリーミングサービスNetflixで、世界190ヵ国へ全…

波岡一喜(以下、波岡):(インタビュー記事を見て)うわー、懐かしい! もう10年くらい経ちますか。再びありがとうございます。痩せていてカッコいい俺がいた頃ですね(笑)。

――今回は劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』で主演を務める北田さんとご一緒ということで、まずはお互いに初共演の印象からお聞かせください。

波岡:北田はね、なんか不器用で、かわいいやつですよ。現場でも、雨宮監督から何回も「もう一回!」って言われて、テイクを重ねていました。でも、不思議なもので、出来上がった作品を観たら、それがめちゃくちゃカッコよく映ってるんです。「あれ? 俺が見ていたものと全然違うぞ」って思いましたよ(笑)。僕が現場で見ていたのは、一生懸命で不器用な北田だったんですけど、スクリーンの中には堂々とした主役がいました。

北田祥一郎(以下、北田):それはもう、編集のおかげです(笑)。僕にとって波岡さんは、本当にテレビや映画でずっと拝見してきた大先輩の俳優さんだったので、現場でご一緒させていただける時間は、なんだか夢みたいな感覚でした。予告編でも流れている丘の上のシーンが、僕たちが初めてお会いした場所なんですけど、本当に幸せな時間だったことを覚えています。

波岡一喜

――現場での波岡さんは、北田さんにとってどんな存在でしたか?

北田:すごく勉強になりました。何か具体的に「もっとこうしろ」とアドバイスをいただいたわけではないんです。でも、お芝居が始まると、その背中が僕を引っ張ってくれるような感覚でした。背中で語る、というか……本当にありがたかったです。

波岡:まあ、芝居なんてものは、自分で考えて自分でやるもんですからね。 僕がとやかく言うことでもないし、何より監督が全部やってくださる。 ただ、新人さんだと現場での居方が分からなくなることもあると思うんですけど、彼は変な感じじゃなかった。心配な面はありましたけど、ちゃんと「やり切る」という思いは最初からあったので。

北田祥一郎

――北田さんはオーディションで大役を掴んだ“ラッキーボーイ”だと伺いました。歴史あるシリーズの主演ということで、プレッシャーも相当なものだったのではないでしょうか。

北田:福岡から上京してきて1年半くらいの頃に、本当にたまたま選んでいただいたんです。だから、決まった時は「本当に僕で大丈夫なんだろうか……」という不安が正直ありました。なので、とにかく自分なりにできる限りの準備はしようと。アクションの稽古もそうですし、「現場で皆さんに迷惑をかけないように」と思っていたのと、この作品を良いものにするために、自分の持てる力を最大限に出し切ることだけを考えていました。

波岡:彼は本当に“超スーパーハイパーラッキーボーイ”ですよ。いきなりこの歴史ある『牙狼<GARO>』シリーズの、しかも冴島大河という重要な役の主役になるのは、とんでもないことです。でもね、彼には何よりもガッツと体力があった。何回NGを出されても、絶対に心が折れない。それが一番大事なことじゃないですか。

(左から)北田祥一郎、波岡一喜

――心が折れなかった、と。

波岡:実は最初の読み合わせの時が、ひどかったんですよ(笑)。俺、正直「この作品、終わったかな」と思ったくらい。

北田:ごめんなさい……(苦笑)。あの時は本当に、緊張で目の前が真っ白になってしまって……。本当に世界が白にしか見えなかったんです。雨宮監督もいらっしゃって、どう思われているんだろうということしか考えられませんでした。

波岡:「おいおい大丈夫か、こいつ」って(笑)。でも、彼はそこから這い上がってきた。現場では、途中からだいぶ自信がついたのか、堂々としていました。それがちゃんとスクリーンに映っていたから、本当に良かった。

――アクションに関しても、苦労があったそうですね。

波岡:そうそう、アクションも最初はダメだったんですよ。「北田は動けない」って聞いてて。格闘技経験者だけど、その癖がついてるから大変かもしれないって。

北田:まさにその通りでした。格闘技は相手を「倒す」ことが目的ですけど、アクションは「見せる」ことが目的。その違いが全く分かっていなかったんです。アクション稽古の中でその違いを教えていただいて、あとはひたすら体で覚えていきました。

波岡:でも、完成した映画を観たら、体が大きいからマントも映えるし、足も上がるし、説得力がある。「確かにこいつは強いだろうな」って思える。スーツの重厚感に負けない、見事なアクションになっていました。

――本作は、シリーズの生みの親である雨宮慶太監督が原作・脚本・監督を務められています。雨宮監督の現場はいかがでしたか?

波岡:やっぱり、『牙狼<GARO>』を創り出した総監督ですから、僕自身すごく興味がありました。『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の押井守監督のように、ご自身の中に明確な作品世界観というものを確立されている、唯一無二のクリエイターのお一人だと思っています。現場には監督が描かれた絵コンテがあるんですが、それがものすごく上手い。監督の中では、映像の完成形がすでに見えているんです。だから僕たち役者は、その世界観にどうすれば上手くハマれるか、その中で役としてどう生きられるかを考えるのが仕事でした。絶対的な信頼感がありましたね。何より、ホン(脚本)がとにかく素晴らしい。衣装合わせの時に監督に速攻で言いましたもん、「ホンが素晴らしいです」って。

北田:僕はもう、目の前にある一つ一つのシーンを成立させることでいっぱいいっぱいでした。どうやったら監督からOKをいただけるか、そのことしか考えていなかったです。

関連記事