レオス・カラックス監督作『ポンヌフの恋人』4Kリマスター版、12月20日公開決定

 レオス・カラックス監督作『ポンヌフの恋人』の4Kリマスター版が、12月20日よりユーロスペースほかにて劇場公開されることが決定した。

 1992年に日本公開された『ポンヌフの恋人』は、ホームレスの孤独と恋を描いたラブストーリー。天涯孤独で不眠症の大道芸人アレックス(ドニ・ラヴァン)と、失恋の痛手と眼の奇病による失明の危機で家出した画学生ミシェル(ジュリエット・ビノシュ)。ホームレスとなった2人は、パリの最も古い橋ポンヌフで出会う。

 大ヒットとなった『ポンヌフの恋人』だが、その製作は簡単なものではなかった。パリ市からポンヌフ橋を借り切って撮影に入る直前、主演のドニ・ラヴァンの思わぬケガで撮影中止に。再度の許可は下りず、夜間シーン用だったモンプリエ郊外ランサルグのセットをフランス映画史上最大のオープンセットにしてポンヌフ橋を再現。しかし底なしの資材と長期の人件費で 2つのプロダクションが破産、製作は中断し強風でセットも倒壊、製作費は膨らみ続け、混迷を深める状況をマスコミがスキャンダラスに書き立て、「呪われた映画」とまで呼ばれた。先行きが危ぶまれる中、カラックスは『ポンヌフの恋人』が完成させるに値する映画だと証明するため、映画監督のスティーヴン・スピルバーグやフィリップ・ガレルら映画監督や文化人を試写室に呼び、未編集のフィルムを上映。スピルバーグは後に「この映画には激しさや美しさ、想像力があふれている!」と称賛。他にもラッシュを見て感動した参加者から映画の完成を望む多くの声がよせられた。

 最終的に『カミーユ・クローデル』などで知られたプロデューサー、クリスチャン・フェシュネールが製作を引き受け、日本からもカラックスの友人・堀越謙三(ユーロスペース代表)が出資し映画は完成するが、製作費はセットだけで6億近く、合計30億円を超えた。

 4Kレストア版はカラックス協力のもと、オリジナル35mmネガからデジタルレストアし、撮影監督のキャロリーヌ・シャンプティエが修復と色彩補正を監修、トマ・ゴデールが音響を担当した。

レオス・カラックス監督作『ポンヌフの恋人』4Kリマスター版ティザー動画

 あわせて公開されたティザー動画は、カラックスが試写室でスピルバーグらに見せたシーンのひとつ。革命記念日の夜セーヌ川の両岸から滝のように花火が流れる中、盗んだボートをアレックスが操縦し、ミシェルが水上スキーで疾走する圧巻の場面だ。水が凍える11月の夜、失敗すれば大金が消えてしまうプレッシャーと転倒の恐怖を抱きながら、ジュリエット・ビノシュはスタントなしで自らこのシーンに挑んだ。

 革命記念日の花火が上がる中、アレックスとミシェルがポンヌフで狂ったように踊り、もたれあいながら2人で乱舞するシーンを切り取った場面写真も公開された。

◼️公開情報
『ポンヌフの恋人』4Kリマスター版
12月20日(土)よりユーロスペースほか劇場公開
出演:ジュリエット・ビノシュ、ドニ・ラヴァン
監督・脚本:レオス・カラックス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
配給:ユーロスペース
1991年/フランス映画/カラー/125分/DCP

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