『ホットスポット』は何度見返しても発見がある メイキングで知る大がかりな仕掛けの数々
2025年1月期に放送された日本テレビ系日曜ドラマ『ホットスポット』。先日第1話が再放送され、ロケ地である富士河口湖町でのマンホール設置や、Content Asia Awards2025をはじめ国内外での受賞など、放送が終了してからも話題が尽きない本作のBlu-ray&DVD BOXが9月10日に発売された。Blu-ray BOX、DVD BOXともに、特典映像としてメイキングとスペシャル座談会が収録されており、ブックレットが封入されている。
本稿では、スタッフやキャストの努力と工夫によって、本作最大の魅力である、一見ありふれた日常の中で巻き起こる様々なSF展開がいかにして作られたかを垣間見ることができるメイキング映像の見どころを紹介しつつ、何度見返しても新しい発見がある傑作ドラマ『ホットスポット』の魅力を振り返りたい。
『架空OL日記』(読売テレビ・日本テレビ系)、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)のバカリズムが脚本を手がけ、市川実日子が富士山麓のビジネスホテルで働くシングルマザー・遠藤清美を演じる本作は、楽しくて愛おしい、そして少しだけ切ない、いつまでも観ていたくなる「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」だ。
職場の同僚・高橋(角田晃広)に命を救われた清美(市川実日子)は、彼が宇宙人であることを知る。その秘密を共有する清美の幼なじみ、“はっち”こと葉月(鈴木杏)と、“みなぷー”こと美波(平岩紙)と清美、そして高橋との間に生まれた友情は、終盤生じる「高橋さんと地元の危機」を前に、多くの同級生や、清美と高橋が働くレイクホテル浅ノ湖で働く人々といった、「富士浅田市」を愛する人たちを巻き込んでより強固になっていく。
本作に収録されているスペシャル対談の中で、みなぷーを演じる平岩紙が「40代半ばになると、しっかりした役ばっかりになるんですけど、それをこんなおじさん・おばさんの青春みたいな物語を書いてくださって本当に感謝」していると言っていたように、同世代の優れた俳優たちが演じる、大人たちの「わちゃわちゃとした」賑やかな青春は、観ていて本当に楽しかった。
メイキング映像を観ていてまず驚かされたのは、例えば高橋が高速で走る場面、あるいは第3話のお風呂の梁に裸でしがみつく場面、第6話の意識のない泥酔客・森本(勝矢)を高橋が持ち上げる場面といった、日常の延長線上で繰り広げられる、宇宙人特有の非日常シーンがいかに作られていったかである。
グリーンバックで第1話の高橋が清美を自転車ごと持ち上げる場面が作られていったり、森本を演じる勝矢や車そのものを大がかりな仕掛けで持ち上げる様子だったり、高橋を演じる角田と同じ身長・体重のスタントマンの存在だったりと(こちらはスペシャル座談会で明かされている)、メイキング映像からは、「日常」と「SF」の間を滑らかに移行する本作の裏に隠された大がかりな仕掛けの数々を目の当たりにすることができるのである。