MAZZEL RAN、役者業で増えた表現の引き出し 『THE FIRST』と重なった『アオショー!』

 8人組ダンス&ボーカルグループMAZZELのメンバーとして、そして俳優としても活動の幅を広げるRAN。「絶対青春合唱コメディ『SING!!!』-空の青と海の青と僕らの学校-」から演じてきた主人公・悉平役で主演を務める映画『アオショー!』が公開中だ。

 コロナ禍の2021年からの舞台、映画化に至るまでの道のりの中で、RANは役者としてどんな経験を積んでいったのか。自身が世に出るきっかけとなった『THE FIRST』での経験や、MAZZELメンバーとの関係性、そして俳優業が自身のアーティスト活動に与える影響について、深く語ってもらった。

「俳優業での経験は、アーティスト活動に繋がる」

――『THE FIRST』が終わった直後、「超青春合唱コメディ『SING!』」がRANさんの「俳優」としてのデビューとなりました。

RAN:『THE FIRST』が終わって、練習生としてBMSGと契約して、本当にすぐにいただいたお仕事でした。「演じる」ということはほぼ初めてで、出演者の皆さんと比べて圧倒的に経験がない。「どうなるんだろう?」と思ったのが正直なところでしたが、スタッフの方々、共演者のみなさんに本当に助けられました。役者という形でこれまでとは違う形の表現を学ぶことができたのはとても大きな経験になりました。

――ダンサー、アーティスト、そして役者。それぞれで表現の違いはありましたか?

RAN:自分自身を見せるのか、架空の人物を自分を使って演じるのかという明確な違いはあります。でも、共通する部分もあると感じました。自分を表現する(アーティスト活動)にも引き出しがないと単調になりますし、逆に他の人物を演じる役者は、違う自分を引き出すきっかけにもなりました。俳優業での経験は、アーティスト活動に繋がることが多いと感じています。

――『MISSIONx2』では、演技レッスンをされているシーンもありました。BMSGでは、役者業があるかは問わず、トレーニングの一環として行われているのですか?

RAN:はい。僕も演技レッスンに参加しています。お芝居をやっていきたいという気持ちもありますし、そこで得た表現力を自然とライブなどに還元できるので、俳優業を希望しているかどうかにかかわらずレッスンを受けるメンバーもいますね。

「RAN」ではなく「悉平」として

――映画『アオショー!』は舞台の映像化という決して多くないタイプの作品です。舞台と映像での演技の違いに、難しさは感じましたか?

RAN:まったく違う感覚でした。舞台は最初から最後までノーカットで、目の前の観客の皆さんにお届けするものですが、映像作品ではそれがまったくありません。よりリアルで繊細な芝居が求められますし、一瞬一瞬を表現していかなければいけない。その違いが最初は本当に難しかったです。

――映像作品の場合は必ずしも時系列順に撮影できるわけではないのも難しいところですよね。

RAN:そうなんです! 悉平は転校してきて、何も分からない状況の中から、みんなと仲良くなって、合唱を通じて成長していくわけですが、序盤の撮影が物語上は終盤のみんなが結束したあとのシーンで。なので撮影が始まる前から共演者の皆さんとは、距離を縮められるように積極的にコミュニケーションを取るようにしていました。

――キャストの皆さんが合唱を練習しているシーンなどはドキュメンタリーのようなリアリティもありました。音楽を通して仲間との絆を深めていく、自分自身も成長していくという点に関しては、RANさんが参加されていた『THE FIRST』での経験も重なる部分があったのではないでしょうか。

RAN:確かにそうですね。一つのものをみんなで作り上げていく感覚はかなり近いものがあったと思います。新しい場所で仲間と出会い、様々な人間ドラマや事件が起きていく様は、自分がオーディションを受けていた時の感覚に似ていましたね。

――歌唱シーンでは、「アーティスト・RAN」としてではなく、「悉平」として歌うことを意識されたのでしょうか?

RAN:そこは監督からも「より悉平らしく歌ってほしい」とご希望をいただいていました。悉平は、歌が特別上手いわけではないですが、彼の言葉や行動に周りが惹きつけられていく。ストレートに心を届けるところが魅力なんです。最後の合唱シーンでは、この状況だったら悉平はこう歌うだろうなと想像しながら演じました。

――完成した作品をご覧になって、ご自身の演技をどう感じましたか?

RAN:撮影から1年以上経って観ると、「もっと上手にできたかな」とか「もっと周りを巻き込んでいけただろうな」と。こだわりが強いところがあるので、お芝居の中に視野が狭くなっている部分が見えるな、と感じたりもしました。

――共演者の方々から学んだことも多かったのではないでしょうか。

RAN:本当に周りの方々に助けてもらった現場でした。特に母親役の田畑(智子)さんは、現場に入った時から優しく接してくださり、お芝居のこともいろいろ教えていただきました。自分が主演という立場でいるのが申し訳ないくらい皆さんに引っ張っていただいて、この学びを今後も大切にしていきたいです。

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