『鬼滅の刃』甘露寺蜜璃の“巣蜜パンケーキ”を再現してみた ふっくら食感と香りが絶品

 あの映画やドラマに出てくる美味しそうな料理は、どうやったら食べられるのか。スクリーンの向こうから食欲を誘う、濃厚で魅力的なパスタや、物語の中から香り立つように登場する心温まるクリーミーなスープ。ああ、どうしても食べてみたい。でもその料理たちは、画面の中の世界でしか味わえない……。

 しかし、ふと思った。もし食べられないのなら、自分で作るのはどうだろう?

 そんな“エンタメグルメ”に憧れるライターのすなくじらが、実際に料理を作ってみる連載「絶対食べたいグルメ」。第9回は、『鬼滅の刃』より、柱稽古にやってきた炭治郎に甘露寺蜜璃が紹介した巣蜜パンケーキを再現してみた。

 パンケーキといえば、今でこそおしゃれカフェの定番メニューだが、日本で一般的に広まったのは1923年(大正12年)。デパートの食堂で提供されたのがきっかけだという。

 当時は材料が限られていた背景を踏まえ、今回は薄力粉と砂糖、ベーキングパウダーを使って作ってみた(ちなみにベーキングパウダーは明治時代にはすでに日本でも使われていたらしい)。もちろん、もっと手軽に作りたい場合は、市販のホットケーキミックスでも十分おいしく仕上がる。

 なお、今回のレシピは『鬼滅の刃 キメツ学園! 全集中ドリル』に掲載されている内容を参考にした。

■材料(3枚分)
ホットケーキミックス:150g
(または薄力粉:130g)
砂糖:20g
ベーキングパウダー:5g
卵:1個
牛乳:90ml
バター:10g
巣蜜(コムハニー):好きなだけ

 今回の主役は、何といっても巣蜜。ミツバチが花から集めた蜜を巣に蓄え、その巣を切り取ったものが巣蜜(コムハニー/巣房蜜)だ。

これが「巣蜜」…!

 簡単に言えば、蜜と巣を丸ごと味わえる贅沢な蜂蜜。普通のスーパーではあまり見かけないが、輸入食品店やネット通販で手に入る。今回はカルディで「アラニーネクター コームハニー」を購入した。

 作り方はシンプル。まずボウルに卵と牛乳を入れ、白身が残らないようによく混ぜる。

卵白のドロドロ感がなくなるまで混ぜる

 そこに粉類を加え、20回ほどさっくりと混ぜていく。

(左から)薄力粉、砂糖、ベーキングパウダー
20回を目安にさっくり混ぜる

 公式レシピには、なめらかに混ぜすぎると膨らみにくくなるため、「多少ダマが残っても構わない」とある。ぼてっと重みのある生地のほうが、焼いたときにふっくらと仕上がるとのことだが、本当に大丈夫なのだろうか。

 熱したフライパンを一度濡れ布巾の上に置き、少し冷ましてから生地をお玉で落とす。弱火で2〜3分、このとき、生地はやや少なめに流すのがおすすめだ(筆者は入れすぎて予定の3枚が2枚になってしまったため)。

生地が硬いので形を整えやすい

 後半で生地の断面の写真も載せているが、焼いているうちに想像以上に生地がふくらみ厚みのあるパンケーキになるので注意したい。表面にぷつぷつと泡が出てきたらひっくり返し、さらに2〜3分焼く。

 焼き上がったら皿に盛り、巣蜜をお好みでのせて完成。

少しの焦げ……はご愛嬌! 火力注意です(笑)

 食べてみると、生地は甘さひかえめで、甘いものがあまり得意でない筆者でも食べやすい。そこに巣蜜のじゅわっと広がる甘みと花の香りが重なり、しっかりコクがあるのにくどくない。ふっくらした生地との相性も抜群で、ついもう一口と手が伸びる。甘党なら、巣蜜をさらにたっぷりのせて楽しむのもおすすめだ。

 限られた材料で工夫し、素朴さの中にしっかりとした満足感を生み出している点は、前回作った冨岡義勇の鮭大根にも通じる。派手な料理ではないが、食べ終えたあとに心がほっと温まるような、やさしく落ち着いた味わいだ。

生地はふかふかに仕上がっている

 大正時代の食堂でも、きっとこんな素朴なパンケーキが供されていたのだろう。鬼殺隊士たちが束の間の休息で囲むおやつを想像しながら、休日のブランチに試してみてはいかがだろうか。

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