波瑠×川栄李奈のW主演には信頼感がある 『フェイクマミー』は2人の“等身大”の女性像に期待
波瑠と川栄李奈が、10月期のTBS金曜ドラマ『フェイクマミー』でW主演を務めることが伝えられた。筆者の回りのドラマ好きの間でも、「波瑠のドラマはハズレがない」「川栄李奈なら間違いない」と言われるほど信頼感のある2人。「この人が出ているなら観てみよう」と、今から期待している人も多いのではないだろうか。この機に、2人の軌跡をたどってみたい。
波瑠は、10代の頃から雑誌『Seventeen』(集英社)や『non-no』(集英社)の専属モデルとして活動しながら、映画やドラマの脇役など50本以上に出演したのち、2015年、24歳のときにNHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年度後期)でヒロインを務めて一気に全国区の俳優となった。
意外にも下積みが長かった波瑠だが、以降は主演俳優としてのポジションを確立していく。『あなたのことはそれほど』(2017年/TBS系)、『G線上のあなたと私』(2019年/TBS系)、『#リモラブ〜普通の恋は邪道〜』(2020年/日本テレビ系)、『私のお嫁くん』(2023年/フジテレビ系)など、主に現代女性の抱える悩みをテーマにした社会派ラブストーリーといえるドラマに主演してきた。
波瑠×中川大志が『G線上のあなたと私』を通して考える、コミュニティから生まれる大人の友情
いよいよ10月15日にスタートする、波瑠主演の火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)。人気漫画家・いくえみ綾による同名コミ…波瑠の凄みは、通常では成立しそうにないキャラクターを成立させてしまうところではないだろうか。波瑠が演じてきた役は、どちらかというと人をイライラさせることが多い。というのも、いわゆる「こじらせ系」の役が多いからだ。高慢だったり、生意気だったり、非常識だったり、真面目だけれど不器用で、世の中との相性が悪そうなタイプが多い。
例えば、『あなたのことはそれほど』の渡辺美都は、はっきりとした理由があるわけではないのにダブル不倫してしまう妻の役だ。どうしても視聴者からは共感を得にくい役である。それなのに、波瑠が演じるとなぜかその役に説得力が生まれ、共感できないにしても、リアルだと感じられる。それは、波瑠という俳優が、リアリティのある人物造形にこだわっているからなのだろう。波瑠自身、役作りについてこう語っている。
「役作りというか、組み立てる作業のときは、いつも自分が実感できるところまで持って行くようにしています。彼女の苦しみを頭じゃなくて、ここ(心)が痛くなる感覚として感じられるようになるところまで最低限持って行かないと。実感が持てて、初めてそこで心を動かせるようになるので。けっこう地道に、自分の中で分かる感覚を探し続けます」(※1)
不器用なまでに真面目に、主人公の「こじらせ」に向き合う真摯な態度が、難しいヒロインを成立させてきたのだろう。
一方の川栄李奈は、元AKB48のメンバーで、アイドルを出発点に演技派俳優へと転身を遂げた稀有な存在だ。AKBを卒業後、『ごめんね青春!』(2014年/TBS系)やNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(2016年度前期)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ)などに出演して徐々に評価を高め、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)で3人のヒロインのひとり・大月ひなた役に抜擢された。
初期の「おバカキャラ」を彷彿とさせる天然系の役柄だったが、次第に大人になっていき、自分の得意なことで地道に実力をつけていく様は、まさに川栄本人の生き方にも被っているかのようだった。おちゃらけているように見えて、川栄は今や実力派俳優として確固たる地位を確立している。
川栄が演じるのは、明るく飾らない自然体の役が多い。おちゃめで親しみやすい役柄に、視聴者は素直に共感し、感情移入することができる。川栄自身、気取らない気さくなキャラクターで、自分のことは「地味」だといい、バイプレーヤーだと思っている節がある。「もともと存在が地味なので、主役をやりたいと思ったことがないんです。だから、ヒロインをいかに輝かせるか、というところにいつも懸けているんです」(※2)と、あくまで謙虚なところも、愛されるポイントなのだろう。
川栄李奈が語る、『アシガール』阿湖姫役の楽しさ 「唯之助とは対照的なお姫様感を意識しています」
本日、土曜時代ドラマ『アシガール』(NHK)の第9回「せつないラストチャンス!」が放送される。同ドラマは、『ごくせん』『デカワン…『フェイクマミー』では、波瑠が高学歴だけれど不器用な独身女性を、川栄が元ヤンキーで社長のシングルマザーを演じるという。まさに二人の個性にうってうけ、またもリアリティのある「等身大」の女性を演じてくれそうだ。新しい女性たちの物語に期待が高まる。
参照
※1. https://crea.bunshun.jp/articles/-/35481?
※2. https://www.cinematoday.jp/news/N0098390
■放送情報
金曜ドラマ『フェイクマミー』
TBS系にて、10月スタート 毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:波瑠、川栄李奈
脚本:園村三
プロデュース:韓哲、中西真央、唯野友歩
演出:ジョンウンヒ、嶋田広野、宮﨑萌加
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fakemommy_tbs/
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