『ちはやふる-めぐり-』王道の“青春”が始まった! 真島太一と重なる白野風希の美しさ
競技かるたの楽しさを経験したものの、競技かるた部を退部する意思が固いめぐる(當真あみ)。彼女が文化祭で実演する姿を見て入部を決めたクラスメイトの白野風希(齋藤潤)から、「なぜ退部するのか」と訊ねられると、「私にはもったいない気がする。かるたっていうか、青春が」と答える。また別のシーンで風希からその言葉の真意を訊ねられると、めぐるは中学受験に失敗した5年前のできごとを話しはじめるのである。
めぐるのいないところで両親が、受験にかかった費用を投資に充てればよかったと言っているのを聞いてしまい、いろんなことを無駄にしてしまった自分自身に対する怒りが込み上げてきたと。前回のエピソードで描かれた月浦凪(原菜乃華)への劣等感――凪が漫画の主人公のような人で、めぐる自身はその脇役であると思い知らされたこと――だけでなく、めぐるを凝り固まらせたきっかけというわけだ。つまりは、“なにかひとつでも凪に勝つ”という明確な目標に向かう前に、めぐるには堂々と“青春”を突き進むことが必要不可欠であるということだろう。
7月16日に放送された『ちはやふる−めぐり−』第2話のエピソードタイトルになっている「しらつゆに」は歌番号37番、平安時代前期の歌人・文屋朝康が詠んだ〈しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける〉である。めぐるが自分の名前が含まれている紫式部の「めぐりあひて」と出会ったように、今回は名前に“しら”が含まれる風希にフォーカスが当てられた。それにしても、風希に得意札について説明する与野草太(山時聡真)が言う、「人生で一番聞いてきた音」という表現は実に美しい。
この白野は、家がボクシングジムで、自身もアマチュアボクサーとして子どもの頃からボクシング一筋でやってきた。しかし決められた道をずっと進んできたことに疑問を抱き、自分自身を“からっぽ”と笑う。反射神経を鍛えるためと親に言って、競技かるたをやると自分で決めたことに楽しさを見出す。彼のキャラクターは、親の期待に応えるというプレッシャーのなかで葛藤し、かるたを通して自分というものを探していた真島太一を想起させられる。「自分で決めてこなかったツケが回ってきた」という風希の言葉は、原作の第51首で太一が言った「おれは選んでがんばるんだ」に繋がっていくのかもしれない。
さて、自分で選んで競技かるた部にやってきた風希を筆頭に、部員が集まっていくことこそ、原作・映画の『ちはやふる』と同様“部活もの青春ドラマ”の基本中の基本。奏(上白石萌音)の読み上げに導かれるようにして(歌の解説をするときに目を輝かせるのも含め、奏の持ち味が存分に活きる)、野球部だった村田千江莉(嵐莉菜)と奥山春馬(高村佳偉人)も部に加わり、めぐるも退部を撤回して正式に部員となる。これで団体戦出場に必要な5名の部員が揃い、ここから彼らの“青春”が本格的に始まるというわけだ。
2016年から2018年にかけて公開された映画『ちはやふる』シリーズの10年後の世界を舞台にした作品。廃部の危機にある梅園高校・競技かるた部の藍沢めぐるが、顧問として赴任してきた大江奏と出会い、成長していく。
■放送情報
『ちはやふる-めぐり-』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:當真あみ、原菜乃華、齋藤潤、藤原大祐、山時聡真、大西利空、嵐莉菜、坂元愛登、高村佳偉人、橘優輝、石川雷蔵、瀬戸琴楓、髙橋佑大朗、藤枝喜輝、大友一生、漆山拓実、上白石萌音、内田有紀、要潤、榎本司、富田靖子、高橋努、波岡一喜、髙嶋政宏
ショーランナー:小泉徳宏
監督:藤田直哉、本田大介、松本千晶、吉田和弘
脚本:モノガタリラボ(小坂志宝、本田大介、松本千晶)、金子鈴幸
プロデューサー:榊原真由子、巣立恭平、中村薫、平田光一
企画・プロデューサー:北島直明
チーフプロデューサー:松本京子
音楽:横山克
主題歌:Perfume「巡ループ」(UNIVERSAL MUSIC LLC)
制作協力:ROBOT、ウインズモーメント
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/chihayafuru-meguri/
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