細田守新作『果てしなきスカーレット』主人公の声優に芦田愛菜 岡田将生が看護師役に

 11月21日に公開される細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』に声優として芦田愛菜と岡田将生が出演することが発表され、あわせて新ビジュアルが公開された。

 本作は、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』『竜とそばかすの姫』などの細田監督が手がける、“生きる”をテーマにした
物語。「人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。今、この大きなテーマを、観客と一緒に考えたい」という細田監督の想いから始まった本作では、主人公の王女・スカーレットが父の復讐に失敗するも、“死者の国”で再び、宿敵に復讐を果たそうとする模様が描かれる。12月12日にアメリカで公開されることも決定している。

 主人公・スカーレットは、とある国の国王である父を殺された王女。しかし、その復讐に失敗したスカーレットが目を覚ますとそこは“死者の国”だった。狂気にあふれたこの“死者の国”では、宿敵に復讐を果たし、“見果てぬ場所”にたどりつかなければ“虚無”となり存在が消えてしまうという。スカーレットは“虚無”とならずに、宿敵に復讐を果たすことができるのか。果てしなき復讐への旅路が始まる。

 果てしない復讐劇に身を投じる中世の王女であるスカーレットを演じるのは、映画『はたらく細胞』で第48回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞、『怪盗グルー』シリーズや『映画 えんとつ町のプペル』など数々のアニメ作品にも出演している芦田。スカーレットはもともと、戦いよりも平和を望む父親を尊敬する心優しき王女であったが、父親を目の前で殺されたことから、復讐心に取り憑かれていく。復讐相手に怒りをあらわにし、アクションシーンでは声を張り上げたかと思えば、自身の復讐心に対して苦悩する役どころだ。作中ではスカーレットの子ども時代のシーンもあり、子ども時代と19歳のスカーレットを当時19歳の芦田が豊かな声色で演じ分けた。

 本作での芦田について細田監督は「スカーレットをここまで表現できたのは芦田さんのおかげです。凄まじい演技の連続で、なんと素晴らしい俳優なんだ、と収録中、何度も驚きました。復讐に取り憑かれた中世の王女に、芦田さんは全身全霊で憑依しています。彼女の可愛らしい外見からはとても想像できないほど、本番中は迫力に満ちています。圧倒的な狂気と、身悶えするほどの葛藤、そしてその奥に隠れた清らかな人間性が、十二分に表現されています。芦田さんのお芝居は、この映画の大きな見どころのひとつです」と絶賛している。

 芦田演じるスカーレットと旅を共にする心優しい看護師・聖の声を担当するのは、映画『ドライブ・マイ・カー』で第35回高崎映画祭最優秀助演俳優賞、2021年度全国映連賞で男優賞を受賞し、『ラストマイル』では第48回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した岡田。本作で長編アニメ作品に初挑戦する。 

 岡田が演じる聖は、現代日本で日々命と向き合う生活を送っている看護師。ある日、“死者の国”で目を覚まし、傷ついたスカーレットに出会う。傷ついた人を癒すことを使命としている聖は、スカーレットに何の見返りもなく手を差し伸べる。そんな聖に対し、スカーレットは反発するも次第にその関係にも変化が起こる。なぜ自分が“死者の国”に迷い込んだのか分からないままスカーレットの旅を支え、バディとなる。『トラベルナース』(テレビ朝日系)でも看護師役を演じていた岡田。アフレコ時には「いろんな仕事が地続きに繋がって(その経験が)生きていることを実感しています」と振り返った。

 本作での岡田について細田監督は、「岡田さんは、演技が上手くて誠実で、でも謙虚で控えめな方でもある。“聖ってこういう人かもな”と、聖の人物像を、岡田さんを通して理解したような感覚がありました。聖は、命に関して真摯に向かっていく能動的な力もあれば、スカーレットのように復讐という怒りと狂気を持った人物にそっと寄り沿って慰める優しさもある。この両面性は、岡田さんご本人の人間性とも通じるものがある、と感じます。役と俳優がぴったり噛み合っている、と強く思わせられました」と聖というキャラクターを作り上げるうえで、岡田の存在が大きかったことを語った。

 芦田と岡田は共に、細田作品には初参加であり、映画『星の子』以来5年ぶりの共演となる。当時の舞台挨拶で岡田に対し、「次は仲の良い役で共演したい」と話していた芦田。感情をむき出しに復讐に取り憑かれたスカーレットとすべてを癒し、包み込もうとする聖。細田監督の世界観の中、共に旅をするバディとして、2人の声がどのような化学反応を起こすのか。

 本作は、細田作品初の試みとなる、プレスコアリング(以下、プレスコ)という収録方法で制作された。プレスコとは、まだ映像ができていない段階で、キャストの声を先に収録し、その声に対してアニメーションを制作していくという手法。キャストによる声の演技を聞いて、制作側が後からアニメーション表現を組み立てる。芦田と岡田は1年前にプレスコし、今回改めて、シーンにあわせて再アフレコを行った。アフレコでは芦田と岡田が一緒に収録し、芦田は「2人一緒に演じさせていただけて、聖とスカーレットの対比がとても演じやすかったです。一緒にアフレコができてよかったなと思っています」と振り返った。岡田は「今回の経験は僕にとってすごく大きいことで、大好きな細田監督とご一緒できて良かったと実感しています」と語った。

 あわせて公開された新ビジュアルでは、幻想的な空間の中、聖に支えられながら剣を構えるスカーレットの姿が写し出されている。看護師のユニフォームを着て、救命バッグと弓矢を背負う聖。2人は“死者の国”でどのように出会い、旅をし、支え合うまでの仲になるのか。

コメント

芦田愛菜(スカーレット役)

スカーレットは、中世の王女で私と同世代の19歳という設定ですが、根底にあるものや価値観が違う部分がたくさんあり、演じることがとても難しかったです。
監督から「現代の19歳と中世を生きる19歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい」と言葉をいただき、ジャンヌダルクやエリザベス1世など、動乱の世を生きた女性たちのことを調べ、少しずつ役作りしました。“復讐”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて“これだ!”と吹っ切れた瞬間があり、どんどん役が体に馴染む感覚がありました。
スカーレットは、復讐に燃えて狂気的に見える部分もありますが、そうせざるを得ない状況を思うと、愛おしく、まっすぐ駆けていく姿は、観てくださる方々も応援したいと思ってもらえるのではないかと思います。
混沌とした世界の中で一生懸命に生きようとする人々が描かれた作品ですが、それは現代世界にも通じる部分があり、また、苦しいことや絶望してしまうことがたくさんある中、それでも一生懸命前を向いて生きようとする人々に、いち観客として心打たれました。そのような明日への希望を感じていただける作品になっているのではないかと思います。

岡田将生(聖役)

長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました。色々なアニメを観させてもらっていますが、声優さんのすごさを改めて実感しています。
僕が演じた聖は、困っている人たちに何の見返りもなく手を差し伸べるような人で、簡単に言うととても理想主義者です。復讐に燃えるスカーレットの鞘のような存在となれるよう、彼女の支え方や寄り添い方、聖の優しさや誠実さを伝えられるようにキャラクター像を作っていきました。スカーレットから反発されるシーンもありますが、今この世界でとても必要な人だと思います。スカーレットが抱えている問題や彼女が導き出す答えを、皆さんも彼女とストーリーに沿って考えながら、聖を通して、優しさや人に対して誠実さを求めてはいけないのか、求めるべきなのか…感じ取っていただけたら嬉しいです。
細田監督の作品をいつも楽しみにしていましたが、自分がその内側に入れてもらえたことは嬉しくもあり、不思議な感覚です。正直、まったく内容を知らないまま、映画館で観たかった…と思ってしまう“細田作品ファンな自分”もいます。
いちファンとして作品が完成するのを楽しみにしています。皆さんも是非、楽しみにお待ちください。

(左から)岡田将生、芦田愛菜

■公開情報
『果てしなきスカーレット』
11月21日(金)公開
出演:芦田愛菜、岡田将生
監督:細田守
配給:東宝
©︎2025 スタジオ地図
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